155 / 506
第155話
どうしてこうなった……?
意味が分からず謎のお着替えタイム。
自分でやるっつてるのに……
着せる!って言って聞かない俺の彼氏。
いい男が真顔で駄々こねるのやめて欲しい。
「…スースーする…」
「…水色と白か…似合うな。このフリルふわふわしてんな」
このスカートの中の白いヒラヒラが可愛いんだろうな。
本来は可愛い女の子が着るんだろうけど、ごめんなさい男が着てごめんなさい。
「靴下くらい自分で履くよー」
「靴下こそダメ!」
「…………」
楽しそうに俺にニーハイソックスを履かせる霧緒を眺めつつ……これを贈った園田さんのことを考えていた。
ちゃんと霧緒に好きだって伝えてあげて……そうアドバイスしてくれたのは園田さんだ。
もしかしたら遠い地から俺たちのこと、心配してくれてるのかな?
一時期霧緒がおかしくて、俺もモヤモヤしていて……そんな時に優しくアドバイスしてくれた園田さんだ。
その時の園田さんと俺のやり取りを霧緒は知らないから、このプレゼントを受け取った霧緒は不思議に思っただろうな。
もし俺にこれが直接届いたら、凄く怒りそうだし……
しかし……何故……
これを選んだんだろう。園田さん?
園田さんもこういった女装とかコスプレとか好きなの?
あんなにカッコいいのにそうなの?!
って目の前のルンルンな彼氏もカッコいいけど!
色々と考えるけど…
ただ俺たちは園田さんに遊ばれてるような気も……しなくはない……
園田さんの男前な笑顔を思い出していた。
「あと髪飾りな」
「ほーい」
何を言っても無駄なんだろうから、されるがままになっている。
「おー」
「終わったか?完成?」
「準備できました、お嬢様…」
「……ひぃ」
ソファーに座っている俺の目の前で、膝をつき優雅に一礼する霧緒が絵になってつい悲鳴をあげてしまった。
「な、何してんだよ!」
「なんかこう執事になった気分?」
「執事って」
「凄く、可愛いよ」
「えーあ、ありがとう」
「あちらに鏡がございますので、どうぞ」
「見た方がいいの?」
「見て」
「は、はい」
リビングのすみにある全身鏡まで連れて行かれ。
うわわ!
どひゃーーーーー!!!!!
目の前には知らない女の子が立っていた。
って俺なんだけどさ!
俺、可愛いー!!
この間被ったロングヘアのウィッグに黒いリボンの髪飾り。
水色膝上のヒラヒラしたスカートが可愛らしい。
白いフリフリしたやつこれってエプロンなの?
こうなったら自分を捨てるしかないよね!そんな気分にさせられる!
不思議の国の詩ちゃんだね!
あはは……あは……
「な、めっちゃかわいいだろ?」
霧緒に背後から肩を抱かれ鏡に映る自分の姿を眺めた。
ともだちにシェアしよう!