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第161話 屋内くんと菊池先輩。
玲二
「うぁ……ん……あ……キツ……」
「あっ!……そこ……」
「や、ダメもう俺ヤバい……あぁ……屋内……」
「先輩……頑張って……ああぁ!…あ!イっちゃうよぉ」
「うぁ!スゲーいっぱい出た……」
「早く!ちょっ…もっ…うぁ…ぬるぬるしてる…」
「や……屋内、俺……限界……」
「だ、駄目……あ、あ、あ…」
「う……」
「あ!そ、そっちだめです先輩っ!」
「え……!」
「んぁっ!早くこっちこっち!」
「うぁ!こんなに沢山いる!ぬる!キモ!」
「あっ!あ!あっちの奥にアイテムあるはずだからっ!ほらもう少し頑張って!!」
こんにちは、屋内玲二です。
夏休みに入ってすぐに、
『息抜きも必要だから遊ぼう』
そう菊池先輩から連絡がきた。
夏休みは受験勉強で忙しいはずだから連絡とるのも遠慮してたんだけど、先輩の方から連絡してくれて凄く嬉しかった。
学校がある日は、ほぼ毎日一緒に帰っていたから寂しくなかったけれど、夏休みにはいると学校行かないし……メッセージとかゲームでのやり取りも、今はあまりしてなくて、大分僕の気持ちはしょんぼりしていた。
数日ぶりの先輩は、当然なんだけど私服姿でいつもと感じが違う。わぁー!
Tシャツにチノパン姿だけど、何でこんなにカッコいいのかな。
そんなこんなで、ただいま僕の部屋で先輩の溜まっているゲームクエストを、二人でガンガン進めている訳ですっ!!!
「さすがというか、サポートもばっちりね屋内さん。素敵すぎる!」
「先輩、ここでゲットできるアイテムが揃えばストーリー進められます」
「やるっ!頑張るっ!俺できる子だから」
昼飯食うのも忘れて、ゲームに没頭する二人だった。
「しかし……屋内……」
「はい?」
「……」
隣にいる先輩との距離は近い。
菊池先輩はあぐらかいて、僕は体育座り。
先輩の膝とか肩とか肘がたまにあたるくらい近いのだ。
その距離で先輩がこちらを向いて顔を近づけてくる。
鼻筋が整った顔、たれ目がちな黒い瞳が、優しげな雰囲気を漂わせる。
あ、もしかしてキスされる?
ドキッとしてしまった。
先輩の吐息が顔にかかって……
「屋内、これは……樹海すぎる」
「……え」
「どうなったらこんなに狭くなるんだ?この部屋」
「???そう?」
「俺が前に来た時と!全然ちがう!」
菊池先輩のすぐ脇には、山積みにされた楽譜やプリント。
足元には大量のゲームソフトや攻略本やメモ紙。
恐らくベッドだろう場所には、脱ぎ捨てた衣類やハンガーやメモ紙、カバンも制服も適当に床に散乱している。
「ハンガーあるなら制服かけようよ…」
「……」
「ゴミ箱あるならゴミ入れよう。何で空っぽ?」
「……」
「あそこに刺さってるの、もしかしてバイオリンケースじゃね?」
「」
「それと?このいたるところに散らばってるメモ紙は何?沢山名前が書いてあるけど…TOMO…のぶ…舞子…ロイ…Hino、田代?」
「あ!それはゲームのイベントで、お菓子アイテム配ってくれた人の名前。お返しするのにメモして、チェックしておいたやつだ」
「……線ひいて、名前全部消してあるけど……」
「もうお返し済みの人!」
「全部消したなら捨てろーーー!!!!!」
わー!!!!!
先輩がメモ紙をゴミ箱に投げ捨てた!
よくわからないけど先輩怒ってる!!?
「ゲームは中断!辛抱ならん!掃除だ掃除!!」
「えー!!!なんで……ぐぇ」
ジト目の先輩に首を絞められてしまった。
「なんでじゃない。いいからやるよ」
「……は、はいぃ」
何故か大掃除が始まりました。
面倒くさい。って、言えなかった。
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