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第165話
玲二
「……あ、あの」
考えて…?
キスの余韻で余裕ないけど、ぼんやりしてる脳で無理やり考えてみる。
菊池先輩の優しい眼差しの中には少し意地悪な表情が見え隠れしてる気がした。
「えーと、セックスする……のかな?」
「屋内はセックスしたことある?」
「え!な、ない」
「ついでに聞くけど、男同士のセックスの仕方……」
「一応……知ってる……」
そう……知識は一応ある。
なぜなら弟の類から自然と入ってくるからだ。
知りたくもない男同士のエロ知識を、平気に僕に言って来て本当に迷惑してたんだけど……でも意外と役に立っている?
この状況、この後の展開はさすがの僕でもわかる。
「そっか、良かった……」
先輩はホッとしたように僕の前髪を弄る。
前髪に触られるのイヤじゃないんだけど、気持ちがソワソワと落ち着かなくなる。
押し倒されて背中に感じるフローリングの冷たさがやけに心地よい。
「先輩……したい?」
「……」
「あの……菊池先輩?」
ちゅ
「屋内のこと、抱きたいよ」
そう囁かれ、左目の目蓋に軽くキスされた。
…
う、うあああ…………!
「でも、今日は無理っぽいな」
「え」
「凄~~く勿体ないんだけどなぁ。はぁぁ」
菊池先輩はため息をつきながら僕のほっぺたに軽くキスをし身体を起こす。
ふいに先輩のいい香りが漂ってきて、どうしよう気持ちが高鳴る。
あわわわ……胸がドキドキして、今更ながら恥ずかしい。
今日は無理。
その理由がすぐわかった。
誰かが帰ってきたんだ……
……まぁ…まぁね…
この時間に帰って来る奴は一人しかいない訳で……
コンコンコン♪ コンコンコン♪
無駄にリズムを刻むノック。
イラつくノックの音により、ドキドキしていた気持ちが冷めていく。
「お 兄 ちゃーーん!い ま す かーー?」
ムカつく弟、類の声だ。
「菊 っ ち 先 輩 もいますかーー?」
「ねー屋内ー、菊っちって俺のことかしら?」
「!……ごめんなさい!うちの弟が生意気で」
「別にいいんだけどね」
菊池先輩がスタスタとドアの前まで行き、カチャリと開けた。
「やっぱり菊っちだったー!……ってえええ!ヤバ!!!?兄ちゃんの部屋っめっちゃ片付いてんじゃんっ!!!」
ニヤニヤしながら、部屋の中を確認した類が素で驚いていて少しだけ可笑しかった。
でもあいつ後で殺す。
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