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第171話
玲二
それからはもうキスの嵐で、頭の中が真っ白だ。
「うわ……」
「……首……駄目?」
「あ、くすぐったい……」
「あはは、じゃ念入りにしよう」
爽やかに笑いながら先輩はキスを再開する。
首筋に先輩の吐息かかるたび、唇が這うたびにくすぐったくて笑いを堪えるのに必死だ。
そんな僕の反応が楽しいのか、キスをしながら先輩の方が笑っている。
シャツのボタンを一つずつ外し、肩や鎖骨まで来たところで、すぐ脇を白いほわほわしたようなものが横切った。
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見ると、大きくて綺麗な猫がソファーの端っこを歩いている。
大きな尻尾を揺らしながら優雅に歩いてきて、丁度僕たちの横に座りこちらを眺めているではないか。
「……ニヴァ……」
菊池先輩は溜息をつきながら猫を見やる。
ふわんふわんしてる尻尾が本当に綺麗。
「ニヴァっていうの?大きな猫……えーとなんだっけ」
「メインクーンって品種の猫だよ。いつも寝てばかりのおじいちゃんなのに何でこんな時に来るんだ」
「凄い……綺麗な猫ですね」
手を伸ばすと、チロリと指を舐められた。
か、可愛い!
するとふいにぐいっと先輩に引っ張られる。
「うあぁ、こいつら邪魔だわ!ゆっくりイチャイチャできない!屋内こっち来て」
ため息交じりの先輩が何だかおかしかったけど、それは僕も同じ気持ちだった。
「あれ、ここって……」
「ん……俺の部屋」
え?
超綺麗!というか物がない!その部屋には机と椅子とベッドしかなかった。
「せ、先輩!ここに本当に住んでるの!!?」
「住んでるよ。必要なものは全部しまってあるから。こっち側の壁が全部収納棚になってるんだよ」
スライド式になっている戸を先輩がひくと、その奥にはテレビやパソコン、ゲーム機などが覗いていた。
凄い気になって近づこうとしたら、先輩に抱きしめられ担がれてしまった。
「はーい!そういうことは後々ー!屋内、絶対食いつくと思ったから片付けたんだから」
「だ、だって超気になるっ!!!」
「だよねー!屋内の好きそうなのいっぱいあるよ。今日の目的をちゃんと達成できたら見せてあげるね」
「!!!」
ベッドに転がされて先ほどの続きが再開された。
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