180 / 506

第180話

久しぶりの実家。 萩生家,俺ん家はとある県の山奥にある。 緑豊かな田舎の普通の家だよ。 家族構成は、 長女の華江(はなえ)姉ちゃんと(たもつ)さん夫婦。 次女の清江(きよえ)(しん)じいちゃんと、柴犬の餅子(もちこ)。 電車を何回か乗り継いでたどり着く田舎の駅…風が都会の熱風と違って爽やかで気持ちがいい。 でも、やっぱり…… 「あっつー!しかしほとばしる日差し!」 何とか頑張ってここまで来た! …はは…あはは……めっちゃ身体が重い。主に腰と下半身がだよ。え、重い理由? そ、そんなの決まってるじゃないか。 昨日は俺が白旗あげてるのに、なかなかやめてくれなかったあいつのせいで、見えるか見えないか際どいとこにキスマークもしっかりつけられてガッツリ愛されてしまった訳ですよ。 キスマーク……消えるまで見られないようにしないとなぁ。 ほぼ…朝まで…あんあんやんやんとしてしまった。 あ…あはは…愛されてるな俺…思い返すとキュンキュンするー。 でも…マジ眠いし、重いし… ここまで良く辿り着いたな俺! 使い慣れ親しんだ改札を出ると、 「ウター!」 駅のロータリーに見慣れた車と見慣れた女性。 「清江!」 美しい黒髪を後ろに一つに束ね、白シャツにワイドパンツ姿。眉は太めできっつい…いや、凛々しい姉だ。 「ただいまー!久しぶりー!」 「おかえり詩!とりあえずさ、暑いから早く乗って!」 「はーい」 「…詩、あんまり日焼けしてないわね。……そんな帽子あんた持ってたっけ?」 「ン…今日焼け対策バッチリしてるから。帽子は隣ん家のキリ先輩にもらった」 「え!いただいた?何それ!あんたちゃんとお礼した?つか何もらってんのよ!」 「最初断ったけど!しつこ…いや、何回も断るのも失礼じゃん。キリ先輩はもう使わないからって言ってたからもらったの。もっちーの散歩で使いなって」 …それとしっかり日焼け止めも~二種類持たされたんだけどね! 「そうなの?お隣さん宮ノ内…霧緒くんだっけ?詩と同じ高校なのよね?そんな気遣いしてもらって…え、どんな子なのよ」 「ははは…聞いてめっちゃ…イケメン…ほらほら見てよ、右側がキリ先輩」 自分のスマホの画像を見せる。霧緒と菊池先輩が一緒にいるところを撮った秘蔵の一枚。 どっちもイケメン!だけどやっぱり霧緒が一番カッコいいかな!自慢自慢! ふふふ!で、俺の彼氏なんだぜ!って心の中で呟いた。 「…やだぁ…まじ!?…めっちゃイケメンじゃん!二人ともなにそれ!」 「今3年なんだけどさ、カッコ良くてめっちゃモテるんだよ!今親が海外行ってて一人暮らし中なんだって」 「え、一人暮らしなの?何か寂しいわね霧緒くん。ちゃんと食べてるのかしら…」 「うちのばあちゃんが前から結構お裾分けしてるみたいだよ。俺も作って持って行ったり椿の家で一緒に食べたりしてる。お盆に先輩来るからね!」 「そっかー椿のおばあちゃん料理上手だものね。うちに来た時には美味しいいっぱいご飯食べさせてあげなきゃ!っていうことだから詩今日からしっかり働いて!」 「えーー!!」 「えー!じゃない!餅子は夕方散歩に連れて行ってあげなさいよ」 「!うん!それ任せて!もっちーいい子にしてるかな元気かな!」 「もう老犬だからねー。元気だけど、寝てばかりいるわよ。もう詩が来るって分かってるみたいで朝からソワソワしてるわ」 「そっかー!」 車は緩い坂道を上がって行く。 どこもかしこも見慣れた風景だ。 たった4ヶ月くらいしか経ってないのに懐かしく感じる。

ともだちにシェアしよう!