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第181話
「もっちー!!!」
ワンワン!
「わーー!元気かっ!もっちー!うわあああああ!!!大好きー!」
ワンワン!
「このもふもふ久しぶり過ぎてっ!やばい!感動!もう離さないっ!もっちー!!結婚しよう!」
このもふ感!このワンワン臭!この丸まった尻尾!お尻!お眉!で、やっぱりもふイ!!最高!!
ぎゅううぅ…!
「もう…大好き過ぎて…ぐす…」
「泣くな…こら」
清江は呆れてるけど、本当もっちー久しぶり過ぎて胸がいっぱいになった。
本当泣ける。
家に着くと信じいちゃんがにこにこしながら迎えてくれた。
「詩、おかえり。暑かっただろ」
「じーちゃん!ただいまー!元気にしてた?ってか元気そう!」
「元気元気だよ。ほら、上がって冷たいのでも飲みなさい」
「うん!」
「詩、姉さん今道場だから私も戻るわ。じゃぁね詩!」
「はーい」
清江はいそいそと道場の方に向かった。
萩生家の敷地内には小さな道場があって、そこで華江姉ちゃん…(あと清江もだけど)がなぎなたを生徒に教えている。
もともと萩生家は武士代々武道の家系で、以前は柔道とか弓道もやってたみたいだ。そしてそれを受け継ぐのは何故か代々女だと決まっていた。
うちの父さんの代は男兄弟だったので、椿家から嫁いだ母さんが後を継いでいたらしい。
現在はなぎなたと華道を主に近所の小学生から大人まで稽古をしている。
「あ」
飲み物飲む前に…
カバンの中から菓子折りを引っ張り出して和室の奥の仏壇へ向かう。
仄かに香るお線香の匂いは実家に帰ってきたと実感させられる香りだ。
お菓子を仏壇の脇にそっと供える。
ろうそくに火を灯し、紫色の線香に火を移す。
手であおいで火を消すと線香の香りが濃く漂った。
厳かな気持ちにさせられる香りだ。
すぅ…と深呼吸してしまう。
お父さん、
お母さん…
「ただいまー」
にこりと微笑んでいる両親の写真に手を合わせた。
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