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第183話
その夜、久しぶりの家族団らんの夕食。
一番上の華江姉ちゃんはニコニコしながら、俺に話しかけてくる。
「詩、学校はどう?楽しくやってるかしら?」
「学校楽しいよ!クラスメイトいいやつらばかりだし。友達もできてさー、めっちゃいい奴なんだ!」
そう!天然玲二はめっちゃいい奴!
皆に会わせたいから実家に遊びに連れて行きたい。
「そうー良かったわ!楽しい学校生活送れているなら、お勉強にも身がはいるわよね?期末テストも期待してるから」
「うぐ……!」
「華ちゃんはね、詩くんの中間テストの結果良かったから期待してるんだよー!いやー英語は相変わらずあれだったけどさ、頑張ったよねー!」
うんうんと頷きながら励ましてくれ?たのは華江姉ちゃんの旦那さんの保兄ちゃんだ。
保さんの可愛い笑顔に癒される!
「お母さんの母校で恥ずかしい結果は残せないわ。大丈夫、苦手分野も詩なら出来るはずよー。じゃないとお母さん心配して枕元に出てきちゃうわよね」
ニコニコしながらマイペースに話す華江姉ちゃんは楽しそうだ。
内容は楽しくねぇ……
華江姉ちゃんはいつもニコニコして、穏やかに笑っている。
見た目凄く癒し系女子なんだけど、この顔でなぎなたブンブン振り回すから怖い。
しかもキレると……マジヤバイから……
清江と俺は何回も経験している。
なぎなたで前髪切れたことあるんだぜ。
だからなるべく華江姉ちゃんを怒らせないようにしている。
「確か隣の家の先輩が頭良くて勉強見てもらってるんでしょ?良かったじゃない。イケメンで頭もいいなんて、あんた仲良くしておきなさいよー」
ビールを飲みながら霧緒の話をしてくる清江。
「あら、そうなの?お盆に来る子よね?詩が宮ノ内先輩って言ってた子でしょ。ヤダわそんなに恰好いいなら、念入りにお部屋のお掃除しておかないとねぇ。カッコ良くて頭もいいなんて本当なの詩?」
「え、うん。中間テストもわかりやすく教えてくれたよ…先輩学年3位だって。T大受けるって言ってたし頭いい…」
「「!!!!!!!」」
姉二人は雷にでも打たれたかのように衝撃的な顔をしながら暫く静止。
保兄さんは慣れたようにただ無邪気に笑ってる。
じいちゃんも右に同じで笑いながら里芋を口に放り込んでいた。
「ね、ねぇさんっ!T大だって!」
「や、やだ!どうしましょう!ドキドキしてきちゃったわ!私には保さんという素敵な方がいるし、清江にも婚約者がいるし!詩?その宮ノ内くんは彼女いるの?」
「え!……彼女は……い、いないよ……」
……そう彼女はいない。
そう伝えると、益々姉二人は良くわからない盛り上がりを見せる。
でたこのノリ~!このテンションは俺にはついていけない。
「そうだ華江姉さん!山ひとつつけてさ、詩を貰ってもらえばいいんじゃない?」
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