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第185話

次の日から、毎日朝ごはんの準備から洗濯、掃除、道場の手伝いを慌ただしくこなす。 勿論姉弟で分担しながらだけど、俺は殆どが飯担当だ。 「あ、詩ちゃんだー!久しぶりー!!」 「本当だ詩ちゃん、お勉強できなくて帰ってきたの?」 「負け犬?」 「負け犬ー!」 「詩ちゃん、かわいそうー」 「一緒にお稽古するー?」 「いやっ!違うからー!しないから!」 稽古に通う子達と交わす会話も久しぶりだ。 小さい頃は一緒に俺も稽古に参加していた。 女子生徒に混じって、なぎなたを振ったり、お花を活けたり。 物心ついた時から周囲はそんな感じだったので、女の子の輪の中は嫌ではなかった。 おままごととか、女の子の遊びもしたし、女の子の着物を着せられたりもして、本当に3姉妹みたいだったと親戚によく言われる。 まぁ、姉二人がこんな感じだから遊ばれてたんだな俺はきっと……うん。 姉二人は俺をオモチャ感覚で遊ぶ傾向があったし、小さいときは特に。 遠くを見つめ思い出す過去のあんなことこんなこと……俺……大きくなったなぁ… あ、だからと言って男友達がいないわけじゃない。 運動も好きだったから普通にサッカーやったり野球したり、川で泳いだりすることも好きだったし、魚釣りも楽しかった。 「詩ー!うちでとれたスイカー!食おうぜー!」 よっちゃんが大きなスイカを抱えて遊びに来てくれた。 縁側に腰かけながら、二人で冷えたスイカを食べる。 もっちーは暑いのか、扇風機の前で転がって寝ていた。 耳だけがぴくぴくこっちを向いている。可愛すぎっ! 「むあー!めっちゃ美味しいな!喉が潤うー」 「だろー!夏といえばこれでしょ!」 にこにこしながらスイカを頬張るよっちゃんはキラキラしていた。 身長も伸びてちょっと男らしくなった気がする。 ふむふむ……いい男になってきたということは……これはもしや? 「もしや……よっちゃん、彼女できた?」

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