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第194話

パチ… 今朝から心が浮かれて朝の4時に目が覚めてしまった。 今日は霧緒がうちにやってくる日だ! 寝る前にスマホで話しておやすみしたんだけど、ほとんど興奮して眠れなかった。 お、おやすみどころじゃねぇ! 全然寝てなくて身体はだるいはずなのに、気持ちはルンルンで朝から無駄にハイでもっちーが首をかしげていた。 いつもより早いもっちーとの散歩も、ちょっとスキップが交じってしまった。 本当わかりやすい奴だな俺は。 でもいい、今日はそれでいい! 「そ、そんなに楽しみなの?霧緒くん来るの……」 「えー!そりゃそうだよ!初めて来てくれるんだしっ!お隣さんだし!」 箒片手に客間の掃除に気合が入る。 窓を開けて畳の目にそって箒を履く。 「お隣さんは関係ないよねぇ……まだ6時じゃない。掃除早すぎ……って昨日もしてなかった?」 「清江!ご飯はできてるから!味噌汁の味みてよ」 「ふあぁ~はいはい。相変わらず変なスイッチはいる弟だわ。やる気スイッチってやつ?電池切れないようにしなさいよー!只でさえお盆は忙しいんだから。姉さんに怒られないようにね」 「はーーい!」 そう、たまにやってくるやる気スイッチで頭も冴えてやる気も十分。 ほどほどにしないとってわかってるんだけど、何かやっていないと落ち着かない。 霧緒……今何してるかな…… 朝から動いて動いて気を紛らわせて…… 数時間後…… ぎゅぅう…… せっせと掃除をしていた客間の片隅で、会いたかった霧緒に抱きしめられていて、幸せでいっぱいだった。 あったかいいいい……… お、俺はこのまま溶けてなくなるかもしれない。 間近で見る久しぶりの霧緒は相変わらずカッコいい。 クソ好きー! もう何回そう思ったことか…… チュ さらりと前髪を撫でられたと思ったら、額に優しくキスをされた。 !!! 実家であり家族がいて、誰も見ていないとはいえ、場所が場所だけに俺の心は思い切り跳ねた。 「……!お、おい」 「……」 「う、詩、鼻血出てる!」 「え」 興奮したせいか鼻血をボタボタ出してしまい、とっさに霧緒に鼻を押さえられたが間に合わず、霧緒の服を汚してしまった。 「詩ーーー!!!」 清江にめっちゃ怒られた。

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