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第196話
突然の話題転換に、霧緒の動きが一瞬止まった。
さすがというかこれが普通というか、霧緒は俺と違って動揺の一つも見せない。
「つき合ってる子ですか。んー好きな子、いますよ」
「へぇ、そうなの。その子とはどうなの?折角休みなのにその子ほっといて、こんな田舎に来ていいの?」
「まぁ……そうっすね。大丈夫ですその子には了解得て来てるし」
「ふーん、まぁ好きな子くらいいるわよねー。霧緒くんってさ、モテそうだから二股かけてたりして~。そんなことない?」
ごふっ!!
茶が!茶が気管に入ってむせた!どどどどんな会話してんだ!
「清江!何言ってんだよっ!失礼だろ!」
「そうー?だって彼、明らかにモテそうだし、女には不自由しないって感じじゃん。霧緒くんのそう言うの私知りたいの」
特に悪びれた様子もなく、清江がチロリと霧緒に視線を送る。
そんな質問にも霧緒は特に顔色を変えることはなく、少し考える素振りを見せるくらいだ。
姉たちが良からぬ妄想をしてることを知っている俺は内心ドキドキしている。
実は、霧緒にはそのことを伝えていない。
だってさー個性的な姉とは言ったけど、おかしな姉だなって思われたくない。
男に弟を進める姉ってどうなんだよ?
そりゃ実際霧緒とつきあってるけど!
あれが本当なら嬉しいけど、リアルな事実を知ってしまったら、姉ちゃん達はどう反応するか。
……怖くて……言えるわけない。
「確かに告られたこと何回かあるけど、二股ってありませんよ?俺、結構一途なんで」
チラッと俺の方を眺めながらクスリと笑った。
うあああ!!!こっち見るな!
か、カッコいいから……
また鼻血が出そうっ!
でも~過去にはそんなこともあったんじゃないですか?って、心の中でツッコミを入れてしまった俺だった。
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