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第197話
「そうなのー?そうね、一途なのはいいことだわ。いい男だからいまいち疑っちゃうのよね」
ぼそりと毒を吐く……
「だからっ!清江失礼だって!」
「あははなーんちゃって!霧緒くんごめんなさいね!意地悪な質問しちゃって。うちの詩もユニークでおススメだからどうぞよろしくね!」
にこりと微笑みながら口にした清江の最後の言葉に、目が点になる霧緒がいた。
そりゃなるだろ。
この流れで理解不能なこと言われたらさ。
ポンポンと俺の頭を叩く清江は、悪びれた様子もない。
「清江~失礼なこと言わないの。はしたない」
華江姉ちゃんが和菓子をテーブルに置きながら清江に注意する。
「姉さん……」
「霧緒くん本当ごめんなさいね。来たばかりなのに失礼なこと聞いちゃって。霧緒くんみたいに格好いい人、この辺にはいないからついつい色々聞きたくなってしまって」
「いえ……気にしてないんで大丈夫です」
「あらー!声も素敵ねー!」
両手を合わせて無邪気に喜ぶ華江姉ちゃん。
このままだと華江姉ちゃんまでおかしな質問をしそうで怖い。
これ以上、霧緒におかしな質問されるのはごめんだ!
「霧緒!散歩行こうぜ!俺その辺案内するよ。川行こう!川!」
「ん?川か、そう言えばあったな」
「あるある!行こう!今すぐ行こう!」
「河童とかいる?」
「い、いねぇ」
「だよね」
「さ、探してみるか?」
「おー」
その様子を眺めていた華江姉ちゃんは微笑みながら、
「遅くならないように帰ってきなさいよ。今晩は政親くんも来るから、夕飯は皆で食べましょう」
政親……遠江政親 さんは清江の彼氏だ。
豪快で明るいお兄さんって感じの人で、政くんが居るとうるさい清江がおしとやかになる。
清江が大好きな人だ。
「わかった!」
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