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第198話

「もっちーの散歩は今の時間暑くて無理だからまた後で行こう」 「ふーん、道路って結構暑いし熱持つよな。暗くなってから?」 「うん、そう」 二人並んで近所の散策。 何か霧緒と散歩って初めてだから、気持ちがふわふわするしちょっと恥ずかしい。 途中出会う人は顔見知りばかりばかりだけど、霧緒の姿を見ると、普段見れないリアクションが返ってくる。 そうだよねー。 田舎にいてもやっぱり霧緒は霧緒で、落ち着いていてカッコいいんだ。 見慣れた風景をバックにしてゆっくり歩く姿は、絵になって胸がキュっとなる。 「スゲー空気綺麗だよな。聞いたことない鳥の鳴き声するし……」 「空気も水も綺麗だよ。沢山吸っておけ」 「川とか近くまで行ったことないしな。この辺は詩の庭だろ?」 小川の清流を眺めながら霧緒がやんわりと笑う。 「うん、庭!小さい頃から遊んでた場所だよ」 「……綺麗だな」 「癒され……ましたか?」 「ん」 暫く足首まで入って軽い水遊びを楽しんだ。 自然と戯れる霧緒は楽しそうに俺に水をかけてくる。 あああ!その笑顔貴重だー! 冷たーい!濡れたぞ! 「ちょ!ここまで濡れる予定なかったぞ!また清江に怒られる!」 「家に着くまでの間に渇くだろ。河童いなかったな」 「やはりキュウリがないとダメかな」 「あーそれ必要かも。って本当濡れたな」 濡れた髪をわしわし撫でられてようやく霧緒がいる実感が持てた気がした。 心が満たさる。 「そうだ、明日の夕方に夜祭が神社であるんだ。それ行くよー!」 「夜祭か……祭りって何年も言ってないな」 「霧緒、浴衣持ってきたよね?」 「ん」 俺が霧緒の誕生日にプレゼントした浴衣を持ってきて欲しいと言っておいたんだ。 折角の浴衣!着ないと勿体ない!! 「でさ、その夜祭なんだけど。友達が2人一緒に行くって聞かないんだけど……いい?」 そう、よっちゃんと弓女ちゃんが行く気満々だったから断るに断れない。 霧緒と二人で行きたいって断るのも何かおかしい気がして、イヤとっても二人で行きたいんだけどさ。 「まぁ、こっちの友達も詩が帰ってくるの楽しみにしてたんだろうし、構わないぞ」 「うん……ありがと!」

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