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第199話 *

霧緒 川や夜祭りがある神社を案内してもらって、萩生家に戻った。 「どうも、萩生保です。霧緒くん!よく来てくれました!ゆっくりして行ってくださいね」 詩の家に帰って迎えてくれたのは、華江さんの旦那さんの保さんだった。 詩が言っていた通り、笑顔が素敵で優しそうな人だ。 確かに優しそうな感じの人なんだけど、保さんは俺のイメージとは違った。 …主に外見が。 身長は俺と同じくらいだと思うんだけど、何が凄いって、一言でいうと…… クマ? ヒグマか? そんな感じで、縦にも横にもでかい。 体重は俺の倍くらいあるんじゃね?って思うくらい、いい体格してる。 筋肉質でがしっりとした体形に、愛嬌のある顔がのっている感じ。 華奢な華江さんと並ぶと体格差がありすぎて面白いな。 「有難うございます。お世話になります」 「詩くんがお世話になってるみたいだね。勉強も見てくれてるみたいだから助かるよ。受験大変だねー。もしかして参考書とか持参してきたのかな?」 「はい、一応その辺持ってきました。詩も宿題がたぶん……いや絶対終わってないと思って一緒にやろうと準備してきました」 「あっはは!そっかそっか!霧緒くんはクールな感じだけど、実は面倒見がいいのかな?子供好き?教師とかどうかな?」 「え、あ……あの俺、面倒見はそんなに……」 保さんは大学の先生らしい…… この面倒見の良さは一人に限定されるんで、教員なんて……ごめんだ。 「はは……霧緒が学校の先生。あはは」 既に夕飯の準備の手伝いをはじめている詩が笑っている。 「詩ー。当然、宿題持参してるんだろうな」 じろりと睨みつけると、小さいうめき声を残して詩は足早にキッチンに消えていった。 あいつ……やっぱりまだ終わってないな。 「あはは、仲が良さそうでほっとした。良かったよ、近所に同じ学校の子がいてくれて。詩くんああ見えて結構気を遣うタイプだからちょっと心配してたんだよね。最近の若い子ってさストレス溜めやすいだろ」 「……」 「今やっと僕とも打ち解けてくれたけど、はじめは凄く気を使ってくれてさー。優しくてこっちに合わせてくれる気遣いさんだよ詩くんは。でもその分自分に我慢してそうだから」 「……確かに初めはそうだったかもしれないです。人に迷惑かけるの好きじゃないみたいだったし、優しい奴だと思います。友達も大事にするし。でも暫くしてから意外と頑固だって知りました」 「はは!そうだねー!そうなんだよね結構頑固でしょ!なんだそこまで知ってるのかー!」 「……何の話?まだ勉強の話してんの…?」 キッチンからそっと顔を半分覗かせた詩が呟く。 「んーまぁ……少しね」 「あのさー折角来たんだからさー。ここでは勉強のこと、ちょっとおいとかね?ヴァカンスに来てんだろー」 「え、ヴァカンスって言葉、詩知ってるの?」 「し、知ってるに決まってるだろー!!!」

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