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第204話 *
霧緒
ブンブンと頭を振りまくる詩を落ち着かせ、無理やり勉強モードに切り替えた。
耳まで赤くした詩は潤む瞳をパチパチさせ、口を尖らせたまま素直に宿題に集中する。
頬杖をつきながら、その様子をじっくりと眺める。
日焼けしていない健康的な艶々とした肌、さらふわな髪は柔らかくて、何よりうなじが色っぽい。
くりっとした黒目は愛らしく潤んでいるし、ピンク色の唇は美味しそうで……以下色々省略するけど、マジでいとおしくて仕方ない。
あーヤバい可愛い。
……っとに、こいつ真面目だよなー。
そんな理由で布団を用意してんなら、お言葉に甘えてとっととヤってしまえばいいし、何を気にしてんだって思う。
まぁ、あの姉さん達……怖そうなだもんな。
萩生家の家族が仲がいいのは一目瞭然だし、実際見ていて詩は可愛がられている(大分弄られてる感じはあるけど……
俺に対して、はじめはおかしな質問はあったものの、その後は温かく接してくれていたし、歓迎されていると思うから、そこまで何か企てている感じではないと考えるんだけど……
気がつくと詩は、宿題を眺めながらうとうとし船をこぎはじめていた。
そういやあんまり寝てないって言ってたな。
「詩もう寝ろ。瞼くっつくぞ」
「んー霧緒はどうすんだよ…」
「俺も一緒に寝るから」
「オーケーじゃぁ……寝る……」
勉強を諦め、パチリと部屋の明かりを消した。
仕方ない、続きは明日やるかな。正直俺も久しぶりの遠出をして眠い。
二人向かい合うように布団に横になり、詩の髪に顔を近づけた。
……
……甘い。
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