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第206話
目が覚めると霧緒の姿は隣になく、俺はぼーっと薄暗い部屋の天井を眺めていた。
爆睡してしまった……?
ゴロゴロと転がり、隣の布団に寝転がるとシーツや枕から優しい霧緒の匂いがする。
スーハースーハー……
…………
良かった夢じゃない!ちゃんといるー!
ガバッと起き上がり、部屋からキッチンへ。
「……おそようー!今7時よー」
「おはようっ!清江、霧緒は?!」
「大分前に起きてきて、信じいちゃんと一緒に餅子連れて畑に行ったわよ」
「えええ!」
「ふふふ……餅子におろおろするイケメン……はじめて見たわ」
「な、何で起こしてくれなかったんだよ!」
完全に出遅れたっ!おいてけぼりを食らった!
「爆睡してるから寝かせておくって霧緒くん言ってたから声かけなかったの。本当にいつも思うけど、寝相悪いわよあんた。そのボサボサの寝癖、直して来なさい」
長ネギでペチペチたたかれ、キッチンから追い出される。
くそー!俺も行きたかったなー!
洗面所で顔を洗い髪を整えていると、庭の砂利の音が聞こえた。
縁側から外を見ると、餅子を連れた霧緒と花を抱えた華江姉ちゃん、信じいちゃんの姿が見える。
「おはよう詩」
「お……おはよう」
朝から髪をサラサラさせて爽やかな笑みを浮かべている霧緒と、朝散歩に行って満足げに瞳をキラキラさせるもっちーのツーショットは俺には眩しすぎて、一緒に行けなかった悔しさよりも、この激レアツーショットを早く画像に収めようとハァハァしながらスマホを連写してしまった。
ああああ!
永久保存版だ!
胸キュン過ぎてツラい。
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