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第208話
日が少し傾き始めた頃、浴衣の準備に取り掛かる。
「詩ってさ、着物の着付けもできたりするの?」
「あーまぁ、習ったから少しはできるよ」
霧緒の前に膝をついて、霧緒の腰に手にしていた腰紐をキュッと結ぶ。
角帯を貝の口の帯結びにして男前がさらに男前になるはずだ!
「よし」
「……完成?」
「か、完成した!俺の最高傑作!!」
「……」
自分で選んだ浴衣を着た霧緒はイメージ通り……イヤ!それ以上の仕上がりだ!!
派手目な霧緒の顔を、落ち着きある渋めの色が品よく見せてくれて、グッと男前になった!
「か……かかか……」
「か?」
「かっこイイ……です」
「……ありがと。鼻血だすなよ」
「だ、出しません……」
この浴衣選んでよかったー!って改めて思った瞬間だった。浴衣のおかげで霧緒の男らしさとエロさが倍増したのは確かで顔がニヤけるぜ。
本当……鼻血でそ……
「詩も早く着て。俺が脱がしてやるから」
「ん、おう……あ?イヤイヤ結構です!自分でやるから!」
「脱がせるくらいいいだろ。減るもんじゃあるまいし」
意味不明な抗議をする霧緒を部屋から追い出し、自分も浴衣に着替える。
夏祭りは毎年浴衣を着て行っているので、この浴衣は去年あつらえたものだ。
鏡で確認しながら帯を締める。
霧緒とは全然違う体型で、とても残念な気がしてしまう。
自分の横向きになった姿を鏡で眺める
……ぺらいなぁ。俺の身体……
まぁ、今後に期待だ。
うむ……
「よし!」
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