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第209話

縁側に座り、寝転がるもっちーを撫でる霧緒を見つけて隣に座った。 「おまたせー」 「……ん、おう」 振り替える霧緒が、じっと足元からガン見するのにドキドキ緊張してしまう。 無機質な瞳がとらえる俺の姿はどう映っているのだろう…… ってちょっと!見すぎですよ!おい! ぺらいか?やっぱりぺらいか? 「あ、あの」 「んーイイ男」 「え!マジで?」 「マジで」 「やった!」 両手にこぶしを作り、ガッツポーズする。 お世辞でも嬉しいぞー! 「あらー!二人とも浴衣良くお似合いよー」 姉二人がニコニコニヤニヤしながら、浴衣姿の俺たちを眺めに来た。 「霧緒くんの浴衣、渋くて良いわね。これ詩が選んだって本当?」 「本当!マジ本当!めっちゃ似合ってるだろ!」 「お誕生日に浴衣プレゼントしちゃうなんて、本当詩は霧緒くんのこと好きなのねー!仲良くて良いわねー」 「!」 「でも、なかなか友達に浴衣をプレゼントなんてしないわよねー。霧緒くん、これ受け取る時迷惑じゃなかった?」 え? 「だって霧緒くん、恋人いるでしょ?好きな子って濁されたけど、ここに来ること伝えてるってことはそういう関係なんでしょ?そんな子がいるのに、詩から……男から浴衣をプレゼントされるって、ぶっちゃけどうなの?」 「ちょ、これは普段お世話になってる気持ちとしてー」 「詩もそこまでよく考えて物選ばないとさー。恋人の気持ち考えないと、こういうプレゼントって火種になりかねないんだから」 「あーー……そ、そうなの?」 清江が言うことは最もだし、霧緒が来た日に話したあの会話の流れだと、霧緒には恋人がいるんだと推測できる。本当はそんな恋人いないんだけど……って言うか俺なんだけどね。 あーあ、浴衣プレゼントしたって言うんじゃなかったなぁ。 「素直に嬉しかったっすよ。俺浴衣は持ってなくてよく分からないけど、詩センスあるなーって感心しました」 「ふーん」 「そ、そうだそうだ」 「ああー!持ってなかったから貰ってラッキーって感じだったのかしら。恋人と出かけるときに着れるし、別に貰ったって言わなければいいだけだもんね」 ……… 「モテるイケメンはさー、そういうやりくり上手そうだものー」 「……おい……清江」 「ん」 「霧緒はそんな奴じゃねぇよ。……謝れよ」 「は?」 「貰ってラッキーとか、霧緒はそんなぺらい考え方しないっつーの。お前、何言ってんだよ」 「お前だぁー?だって考えてみたら事実そうじゃない!何あんたがキレてんのよウザ」 「勘違いすんなって言ってんの。モテるからとかイケメンだからとか関係ないだろ。俺があげたくてプレゼントした物を、素直に喜んでくれただけじゃん」 「だからー!それはあんたの考えでしょう。あんたはあげて満足かもしれないけど、恋人の気持ち無視してんじゃん!あげる前にそこまで考えろって言ってんの!ぺらいんだよ!」 「うっさいな!俺が恋人だからいいんだよ!!!霧緒のこと全然知らないくせに勘違いするなっての!このババア!てめえが言ったこと反応しろ!バーーーーカ!!!!」 「バ!バ…!!!」 「霧緒!行こうぜっ!」 「え……」 目が点になっている霧緒をぐいぐい引っ張り、そのまま夜祭りに行くべく、雪駄を履いて外へ出る。 「姉さん達……いいのか?」 「いい……あんなこと言う奴姉じゃねぇ!」 「……」 「ぺらいのは俺だけで十分だっつーの」 「ぺらい?」 「そう俺の体型はぺらい!」 「……お、おう?」

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