209 / 506
第209話
縁側に座り、寝転がるもっちーを撫でる霧緒を見つけて隣に座った。
「おまたせー」
「……ん、おう」
振り替える霧緒が、じっと足元からガン見するのにドキドキ緊張してしまう。
無機質な瞳がとらえる俺の姿はどう映っているのだろう……
ってちょっと!見すぎですよ!おい!
ぺらいか?やっぱりぺらいか?
「あ、あの」
「んーイイ男」
「え!マジで?」
「マジで」
「やった!」
両手にこぶしを作り、ガッツポーズする。
お世辞でも嬉しいぞー!
「あらー!二人とも浴衣良くお似合いよー」
姉二人がニコニコニヤニヤしながら、浴衣姿の俺たちを眺めに来た。
「霧緒くんの浴衣、渋くて良いわね。これ詩が選んだって本当?」
「本当!マジ本当!めっちゃ似合ってるだろ!」
「お誕生日に浴衣プレゼントしちゃうなんて、本当詩は霧緒くんのこと好きなのねー!仲良くて良いわねー」
「!」
「でも、なかなか友達に浴衣をプレゼントなんてしないわよねー。霧緒くん、これ受け取る時迷惑じゃなかった?」
え?
「だって霧緒くん、恋人いるでしょ?好きな子って濁されたけど、ここに来ること伝えてるってことはそういう関係なんでしょ?そんな子がいるのに、詩から……男から浴衣をプレゼントされるって、ぶっちゃけどうなの?」
「ちょ、これは普段お世話になってる気持ちとしてー」
「詩もそこまでよく考えて物選ばないとさー。恋人の気持ち考えないと、こういうプレゼントって火種になりかねないんだから」
「あーー……そ、そうなの?」
清江が言うことは最もだし、霧緒が来た日に話したあの会話の流れだと、霧緒には恋人がいるんだと推測できる。本当はそんな恋人いないんだけど……って言うか俺なんだけどね。
あーあ、浴衣プレゼントしたって言うんじゃなかったなぁ。
「素直に嬉しかったっすよ。俺浴衣は持ってなくてよく分からないけど、詩センスあるなーって感心しました」
「ふーん」
「そ、そうだそうだ」
「ああー!持ってなかったから貰ってラッキーって感じだったのかしら。恋人と出かけるときに着れるし、別に貰ったって言わなければいいだけだもんね」
………
「モテるイケメンはさー、そういうやりくり上手そうだものー」
「……おい……清江」
「ん」
「霧緒はそんな奴じゃねぇよ。……謝れよ」
「は?」
「貰ってラッキーとか、霧緒はそんなぺらい考え方しないっつーの。お前、何言ってんだよ」
「お前だぁー?だって考えてみたら事実そうじゃない!何あんたがキレてんのよウザ」
「勘違いすんなって言ってんの。モテるからとかイケメンだからとか関係ないだろ。俺があげたくてプレゼントした物を、素直に喜んでくれただけじゃん」
「だからー!それはあんたの考えでしょう。あんたはあげて満足かもしれないけど、恋人の気持ち無視してんじゃん!あげる前にそこまで考えろって言ってんの!ぺらいんだよ!」
「うっさいな!俺が恋人だからいいんだよ!!!霧緒のこと全然知らないくせに勘違いするなっての!このババア!てめえが言ったこと反応しろ!バーーーーカ!!!!」
「バ!バ…!!!」
「霧緒!行こうぜっ!」
「え……」
目が点になっている霧緒をぐいぐい引っ張り、そのまま夜祭りに行くべく、雪駄を履いて外へ出る。
「姉さん達……いいのか?」
「いい……あんなこと言う奴姉じゃねぇ!」
「……」
「ぺらいのは俺だけで十分だっつーの」
「ぺらい?」
「そう俺の体型はぺらい!」
「……お、おう?」
ともだちにシェアしよう!