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第213話

何となく、弓女ちゃんとよっちゃんの険悪さから、こうなるとは感じていたけど。 霧緒と弓女ちゃん、俺とよっちゃんという二組に自然となってしまった。 弓女ちゃんは、霧緒しか目に入ってない感じだし。 おい!そこ!くっつきすぎだって……! 明かりが灯る提灯が幻想的で、神社の坂に続く階段坂を上っていくと、出店が並んでいて、人通りは一気に増え賑やかになる。 「おー、人多いな。知ってるやつばかりだけど、お盆は親戚とか沢山くるからなー」 「そうだね。花火もあるし毎年混むんだよなー。何食おうかな」 歩いていると、友達や知ってるおばちゃんに声をかけられ、立ち止まり挨拶したり意外と忙しい。 前を歩いていた霧緒たちは先に行ってしまうし、いたかと思ったら、女の子の集団に囲まれてるのが見えた。 「あ!おっさーん!たこ焼き2つね!」 よっちゃんが、知り合いのおじさんが出店しているたこ焼き屋で、熱々のたこ焼きをゲットしてくれた。 「うあっちぃ!!」 「うんまーーい」 座る場所もうまっていて、樹の下で立ちながらよっちゃんとたこ焼きを頬張る。 「アニキとはぐれたな。どこだわたあめか?」 「さっき見かけたけど見失った。完全にはぐれたね」 こんな田舎にこんなにいたっけ?って言うくらい人でごった返してきて、知り合いを探すもの困難なくらいだった。 おーい、霧緒どこ行ったー! 「アニキ男前だから、どうせ弓女が自慢して歩いてんだろったく。これだから女ってやつは」 「……弓女ちゃん面食いだからなぁ」 霧緒が女の子に塩対応なのは知ってるし、中学生相手に何かあるとか思わないけど、前を歩いていた霧緒と弓女ちゃんを見ていたときはやっぱり面白くなくて、気持ちはもやもやしっぱなしだった。 よっちゃんとも楽しいけど、やっぱり霧緒と並んで歩きたいな。 ぼーっと群衆を眺めながら、もぐもぐたこ焼きを頬張ってると、ぐいっと唇を拭われた。 ? 「はは!お前、青海苔つけすぎなんだけど」 よっちゃんが笑いながら指で拭ってくれた。 「ん、サンキュー」 「あ、これで拭いとけ」 ポケットティッシュを渡された。 「何か準備万端じゃないですかー?よっちゃん」 「弟が良く、おかしとかジュースとかこぼすから癖で持ってるんだよ」 「ありがと」 お言葉に甘えてティッシュを一枚もらい、ゴシゴシ口を拭う。 「ぶはは!でた!今度はティッシュがこびりついてる!」 「くっそー笑うなって!」 「はいはい。とれたとれた」 擦りすぎて青海苔のかわりに、今度はティッシュが口にくっついてしまい、よっちゃんにとってもらった。 「擦りすぎていてぇ」 「何か飲み物買うかー。舐めると荒れるぞ」 「んだな。シュワシュワしたの飲みたい」

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