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第214話
そのうち二人と会えるだろうと思っていたけれど、全然遭遇しないので、霧緒にスマホで連絡してみる。
「おーい霧緒たち、今どこら辺にいる?」
「んー西側の鳥居の近く。人凄いな」
「凄いね。OKそっち行くー!弓女ちゃんもいるよね?」
「いる。その他もいるけど」
「おおう……了解」
言っていた通り、弓女ちゃんの友達が3人加わっていて、何とも賑やかになっていた。
色とりどりの浴衣を着て華やかで賑やかだ。
弓女ちゃんは誇らしそうに霧緒にくっついて、腕を絡めたりして自慢気にしている。
だから……だからー!
霧緒にくっつくなって!
腕!その腕やめろって!!って心の中で叫び弓女ちゃんをどつく。
「あ!うったーーー!」
「やーん!詩くんじゃん!久しぶりー!相変わらず可愛いー!」
「わわわ!ひ、ひさし……ぶり。ぐぁ!」
顔見知りの女の子たちに囲まれ、腕を組まれたり抱き着かれたり。
大分適当な感じに挨拶されてしまった。先輩だぞっ!俺は!
姉ちゃん筆頭に、女の子って本当俺の事何だと思ってんだろう。
そして彼女たちは霧緒をチラチラ眺めて皆浮かれ気味だ。
「皆でね、花火見ようってことになったの」
「あ、そうなの?」
「場所取りさー。もう行った方がいいよねー」
弓女もその友達も楽しそうにわきゃわきゃ言っている。
「その前に、皆で飲み物買っておいで。はいこれ」
「えーーー!いいんですか!」
「いいよ。好きなの買きて。ここで待ってるからね」
「「はあーーーーーい!」」
ニコリと微笑む霧緒に、弓女ちゃん含む女の子たちはきゃっきゃ言いながら飲み物を買いに行ってしまった。
「アニキ凄い人気っすね。さすがっす」
「マ、マックの人みたいなスマイルだった」
「……ふぅ」
霧緒は溜息一つつくと、今度はよっちゃんに向き直り、肩をぽんと叩いた。
「よっちゃんに頼みがある」
「は、はいっ!」
「俺たち先に帰るから、あの子達のこと頼んだ」
「へ?」
「詩の姉さんに呼び出されたって言っておいてくれればいいから。彼女たちに本当ごめんねって伝えておいて。よっちゃんには本当悪いんだけど、君にしか頼めないし……アニキのお願い、聞いてくれるか?」
「!!!!了解っすアニキ!俺ガキの面倒は慣れてるっす!」
「有難う!よっちゃん!」
何だこれ……完全に霧緒にのせられてるよよっちゃん……
「アニキー!道中お気をつけてーーー!!」
ぶんぶんと手を振るよっちゃんに見守られて、俺と霧緒はその場を離れた。
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