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第221話
途中から我を忘れて乱れてしまった気がする。
もう声を殺すのに必死だったのになぁ。
後半は夢中になっちゃって、記憶が曖昧で……大丈夫だったかな……
霧緒に触られるところすべてが焦げるように熱くて切なくて、汗が……
「汗だく!」
「湯上りみたいだな」
浴衣を直しながら、お互いにおかしな個所がないかチェックし合う。
「あ、汗臭い気が……」
「スゲーフェロモン垂れ流しの匂いがする。もっかいしたい」
「!ば、馬鹿!!」
ドーーーーーーーン!!
突然に西側の方角から、光とともに鳴り響く太鼓のような大音。
「あー!始まっちゃった!!」
「ほら、行くぞ」
「え!ちょっ!」
駆け足で神社を横切ると、花火を見るのに出店には人がまばらになっていた。
丁度いいと空いてる店で飲み物などを購入してから、群衆とは少し離れた場所へ向かう。
って大分身体が、主に尻が違和感ありありで!走るのツラいんだけどっ!
「少し離れるけど、ここなら座って見れるかな」
東側にある駐車場の脇にある小さな公園。
他にも子供連れなど人はいたけれど、花火を見るには十分な場所だった。
川辺から打ちあがる、色とりどりの花火が見事で胸がときめく!
「かき氷に花火!最高ー!」
「花火なんて、見るの何年ぶりだろうな。こんなに音するもんだっけ」
「山に反響すんだよ、ドドーンとな」
「へー花火……綺麗だな」
「だなー!」
暗いからくっついていても誰にも見られないし、皆花火に夢中だ。
メロン味のかき氷を食べ、火照った体温をクールダウンさせる。
霧緒はスポドリを飲み、前髪を掻き上げながら花火を眺めていた。
…かぁっこいいです。
俺の視線に気がつくと「飲むか?」と、ペットボトルを渡された。
「いや、飲みたくて見てたんじゃないから」
「水分俺より足りないんだから飲んどけ。あ、俺カッコいいの知ってるから、どうぞ思う存分眺めていいぞ」
目の前ににやけたイケメン顔を突き出される。
「!!」
ちげー!ってツッコミを入れたいけど、改めて見る霧緒の顔は、美形でその通りのイケメンだ。
悔しいけど、思う存分眺めても飽きることはないので、花火の光で照らされる瞳や鼻や唇に滑らかな肌をここぞとばかりに見つめた。
……やっぱり霧緒は霧緒でカッコいい……
「……って……本当に見すぎだって」
「え」
口元を抑えて笑いを堪える霧緒だけど、あれ?ちょっと顔赤くね?もしかして照れてますか?
「あ!あ!照れてるなー!!」
「……あのな……そんな顔でガン見されると……勃つからやめろ」
「ひーーーー!変態!」
「変態じゃねぇ」
じゃれ合いながら、お互いの指を絡めて打ちあがる花火を堪能する。
握ると握り返してくれるし、擽ると擽り返してくれる。
きゅっと繋がるその手を離したくなかった。
嬉しいなぁ……
今日見た花火は今までで一番綺麗で、最高の花火だった!
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