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第227話
「玲二が!知らないうちに大人になってるっ!」
「……あいつ何やってんだよ……煽ってんのか?」
画像は、玲二と菊池先輩が写っているんだけど、浴衣を肩まで開けた玲二の首筋に、菊池先輩が唇を這わせ、キスをしているシーンであった。
菊池先輩の優しい顔には、色気を含む艶があって、普段は絶対に見れない表情をして……見ているこっちが……は、恥ずかしい……
玲二の顔は前髪で隠れてよく見えないけれど、開けた浴衣から覗く白い肌は、少しピンク色をしていて、何とも感とも色気を放っていた。
あああ……玲二よ……!
お前ってやつは、この夏で一皮二皮も向けてしまったのか。
そう思っていると、突然スマホが震えた。
玲二からの着信だ。
『う!うた!!うたたたた!!!今送ったそ、そそそその写真!!見た!?見たよね!?見ないで!!見たけどっ見たと思うけど、見ちゃ駄目だってぇええぇぇ!!!』
「……れ、玲二さん……」
『ごめん!ごめん!恥ずかしいのそれ!送るやつじゃなくてっ!えええと見せようと思ってたのは別で……』
「霧緒も見ちゃった」
『………っ!!!!ひぃぃーーー!!!』
久しぶりに話す玲二は、やっぱりいつもの玲二だったからほっとしたんだけど、間違いとはいえ、二人の熱いイチャイチャぶりを見せつけられた気がした。
誤送信だったわけね。
そうだよね……
「玲二さーん、菊池先輩と仲良しみたいで羨ましいわー!素敵な夏祭り過ごせたみたいで良かったわねー」
『詩その言いかたやめてー!画像消したから!!忘れてよっ!!』
「あはは、ごめんごめん!了解見なかったことにする」
『本当ごめんー!は、恥ずかしすぎて。菊池先輩にバレたら怒られるー!!』
「俺は言わないし大丈夫じゃね?霧緒もさーそーんな喋ったりしないって」
そう確認の意味で霧緒の顔を見ると、あらぬ方を見ながらニヤニヤしていた……
わ……悪い顔してる……
ゴメン玲二ゴメンよ。俺にはどうすることもできなそうだ。
そう心で思いながら少し喋った後、親友との通話を切った。
「はぁ……やれやれ」
「あいつらマジで付き合ってるんだな……」
「え、そうだよ。菊池先輩から聞いてないの?」
「そういう話は特にしないしなー。そうか、面白いな……」
テーブルの上を片付けながら、意地悪そうな顔をしている霧緒がニヤついている。
菊池先輩とは中学からの付き合いで霧緒と仲がいい。何を考えてニヤついているのかさっぱりわからないけど、何事もありませんように!と玲二の無事を祈る俺だった。
「ほら、もう寝るぞ」
「おう」
パチリと部屋の明かりが消えた。
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