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第228話
「あ、あの……」
「……ん?」
「あれ……何か……どうしたの?」
明かりを消した部屋。
真っ暗ではなく窓の隙間から薄く差し込む光は月だろうか……
てっきり寝るんだろうと思っていたんだけど、横に寝てるはずの恋人は、頬杖を突きながら俺の髪をゆっくりと撫でつけていていた。
仰向けに寝てる俺の前髪がさらりと流れる。
「何か……詩不足」
「不足って」
「姉ちゃんたち、本当に怖いのな」
「はは……だろ」
「あんなに怖いって知ってたら、交際宣言してなかったかも」
「あっはは」
霧緒がいる方に向き直ると、霧緒の綺麗な鎖骨がTシャツから覗いているのが目に入る。
程よく感じる温もりが伝わって来て心地よい。
「へっくしゅ!」
「冷房効きすぎじゃね。冷えすぎ」
「ん……でもいぃ」
「……」
霧緒の腕を掴んで、自分の肩に回し身体をすすすと密着させれば、なんと便利な人間カイロ。
心も身体もこれでホッカホカになる。
あーこれめっちゃ癒される……
「……はぁ……マジこれ瞬息で寝れる」
「……」
ぎゅっと抱きしめられて、本当に幸せな気持ちだ。
これが幸せってやつだなぁ。
風呂上がりのいい匂いと温もりが、今日一日の疲れを取り除いてくれる気がして、マジ最高だ。
…ん?
…んん?
抱きしめてるはずの霧緒の腕が手が、何故がハーフパンツの中に侵入し、俺の腰らへんを撫でている。
……あれ?
何かちょっと?いかがいたした?
「あの……もしもし?」
「……マジ責任とれってお前は」
「え」
「こっちは我慢してるってのに、お前が煽ってどうすんだよ」
「は……うぐぁ!」
力一杯抱きしめられて息ができないっ!
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