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第230話 *
霧緒
パチリと部屋の明かりを消し、布団に転がる。
天気が良いのか、カーテンの隙間から月明かりが差し込み、部屋の中は完全な暗闇ではなかった。
色々なことがありすぎて、一日詩と一緒にいたのにも関わらず、何だか物足りない。
隣で横になる詩の、しっとりとした髪を優しくと撫でた。
清潔な香りが鼻腔を掠めると、心が落ち着いてくる。
薄明かりの中でふにゃけた顔をしているけれど、その艶めく瞳が無性に愛おしい。
「……へっくしゅ!」
色気のないくしゃみも、詩っぽくて好きだ。
「冷房効きすぎじゃね……冷えすぎ」
「ん……でもいぃ」
「……」
俺の腕を掴んで自分の肩に回し、身体をすすすと密着さてくる。
…
扱いがカイロっていうのが微妙だけど、おかげで詩の温もりと匂いをダイレクトに感じることができてそりゃもう正直嬉しい。
詩のうなじは色っぽい…首が細くてこの綺麗なうなじが本当好きだ。
…あーあ…
「…はぁ…マジこれ瞬息で…寝れる…」
「…」
は、寝れねぇだろ?阿保かこいつは!
詩の背中に回している腕を身体にそって下に移動させ細い腰を撫でていく。さすがに詩も気がついたのか顔を上げてこちらの様子を伺っていた。
こいつは俺がどれだけ抑えて我慢してるか全くわかってない。
祭りでしたセックスで満足できるわけがないだろ!
「…マジ責任とれって…お前は」
「え」
「こっちは我慢してるってのにお前が煽ってどうすんだよ」
「は…ぐぁ!」
緊張感のかけらもない恋人を力一杯抱きしめてやった。
決めた。
全身舐めてやる。
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