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第237話
…
じっとみる無機質な瞳……
「い、いつから……」
「俺のシャツ、クンクンしてるとこから?」
あわわ……ほとんど見られてる……
「お、おはよぅ……ございま……す……」
「ぷ……彼シャツ……気に入ったか?」
!!!!
そう言いながら、にこりと笑う笑顔がドストライクに胸を突いた。
どえーあまーい!!鼻血でそうっ!
「まぁ、でも早く着替えた方がいいぞ。キスマーク丸見えだし、俺の着てるって家族にわかると、ヤバそうだから」
「……お、おう」
なんだろう……
気のせいか霧緒がいつもよりもカッコよくみえる。
色っぽさも相変わらずだけど、元気になったっていうか、煌めいてるっていうのか。
カッコいいやつがさらにカッコいいって、なんて言うんだ……クソ。
目も覚めてしまったし、襟付きの半そでシャツとジーンズに着替える。
霧緒も着替えて、一緒にもっちーの散歩へと出かけた。
朝露に濡れ、草花の香り漂う湿気を帯びた夏の空気は、早朝なのにすでに蒸し暑い。
だけど……んー!
気分は気持ちイイぞ!
「もっちーとも仲良くなれたね」
後ろを振り返り、もっちーのリードを持つ霧緒を眺める。
はああ……………最高!
この眺め最高!忘れない!!
「忘れ物はないかしら?これおばあちゃんのお土産ね。着いたらちゃんと連絡頂戴よ」
「重……!何入ってんのこれ」
「お野菜よー!沢山入れたからいっぱい食べてね」
どうせなら宅配便で送って欲しいんだけどーって思いつつ(言えない)、ずっしりと重い荷物を受け取る。
「う、うん」
「詩、元気でな」
「うん、じいちゃんも元気で!」
「霧緒くん、詩の事よろしくねー」
「はい。お世話になりました。楽しかったです」
「また、おいでね!」
華江姉ちゃんと保兄さん、信じいちゃんにも挨拶し、勿論もっちにもぎゅっぎゅしてから清江の車に乗り込んだ。
「充電器とか忘れてないー?大丈夫?」
「ん、入れたから大丈夫!」
「はいじゃ、出すわよー」
昨日連絡があった、弓女ちゃんとよっちゃんにも別れのメッセージを送り、駅までの道のりを過ごす。
弓女ちゃんからは霧緒の連絡先を知りたいメールが来てたけど、誤魔化しておいた!
あはは絶対教えてやらんぞー!
お世話になったよっちゃんには、帰ったらまた連絡しよう。
「はー!あっという間だったなぁ」
「残りの夏休み、遊んでばかりいないで、やることちゃんとやりなさいよ」
「……わかってるよ!」
「まぁ勉強全般は、霧緒くんに任せておけばいいわよねー!受験勉強の合間に、ちゃちゃっとよろしくねー!」
「ちゃちゃっと……全然構わないっすよ」
「……うへー」
「今のうちに脳みそにシワ作って、進路に役立つようにしておきなさいよ」
「はぁーーーーー!!何それっ!」
「……」
「先々のこと……ま、頑張んな!」
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