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第238話

清江とは駅まで送ってもらい別れた。 清江にも色々お世話になったなぁ…… ババァって言って、まじゴメン清江。 家に着くまでの道のりは、霧緒と二人だったから退屈することもなく、ちょっとしたデート感覚でとても楽しかった。 やっぱり二人だと落ち着くし、心が浮かれる。 ははー! 荷物スゲー重いけど、全然苦じゃないぜー! 「椿のばあさんにお礼しておかないとだな」 「あ、そうか……そうだね」 俺たちのことをわかってくれていて、見守ってくれていたばあちゃんにきちんとお礼をしないと。 「ばあちゃんは、知ってたんだなぁ……」 「そうだな」 「……そう思ったら恥ずかしいな。そんなに霧緒って前と変わったの?」 「……さぁ……でも椿の家に行くことは詩と知り合ってからだし、それまでは御裾分けしにばあさんがうちに来てくれていたから。あの時はあんまり会話っていう会話してなかったかもしれない」 「へー」 帰ったらばあちゃんに以前の霧緒のこと、こっそり聞いてみよー!とか思ったのだった。 椿の家に着いた時には夕方近くて、西日がぎらぎらと眩しい。 「ただいまーーーー!!」 ガララと玄関を開けると、すぐにばあちゃんが出迎えてくれた。 「おかえりー!あら霧緒くんも一緒ね!暑かったでしょうー」 「こんにちは」 「ふふふ、楽しかったかしら?萩生の家族は優しかったでしょう?」 「はい」 「……ばあちゃん、あの……色々有難う。俺たちのこと、気がついてたって華江姉ちゃんから聞いたんだ」 「あらあら、帰って来てすぐその話?気がつかない方がおかしいわよ。でも大丈夫だったでしょう?」 「うん。ちゃんと話……姉ちゃんとも保兄さんともした。ありがとう」 「俺からもお礼を言いたくて。ありがとうございました」 「……まぁ……どうしましょう。大したことしてないわよ。二人が仲良しだから、そう華江ちゃんに伝えてただけだなの。気にしないで頂戴ね。私も嬉しくて萌えちゃうのよー!いいわよねそういうのって青春。キュンキュンしちゃうわー!」 ばあちゃんが嬉しそうにキュンキュンって言ってて、ばあちゃん可愛いって思った。 「もうね、霧緒くんもうちの孫みたいなものだから、困ったことがあったら遠慮なく言ってね?ファイトよファイト!」 「はい……じゃ、家に帰ります。すみません、お邪魔しました」 「晩御飯どうする?うちで食う?」 「あー多分まだ冷凍庫にもらったカレーあるから今日はいいよ。サンキューな。じゃぁ」 霧緒が帰ってから、改めてばあちゃんと話をした。 照れるけど、ちゃんと霧緒に対する自分の気持ちを話したりして、一緒に夕飯の支度をした。 実家から帰って来ると、夏休みが夏が終わったような気がする。 また来年も……その次の年も…… 一緒に実家に帰れるといいな。

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