239 / 506
第239話 9月。
夏休み明けの学校はだるい。
でも久しぶりだから、少し新鮮な気持ちで登校した。
宿題もちゃんと終わらせたし、準備は万端だ!
久しぶりの学校、久しぶりの教室、久しぶりのクラスメイト……ちょっと緊張するんだよなー。
皆、俺の事覚えてるかな?教室に入るのドキドキするー!
「おーはよ!」
教室に入る前に、後ろから肩をたたかれて振り返ると、愛しの親友屋内玲二が立っていた。
「あー!玲二……おはようー!制服姿新鮮すぎー!君に会えてよかった」
「いえーい詩ー!また一緒に励もうぜー!」
教室の入口で、親友と会えたのが嬉しくて、心強くお互いに抱きしめ合った。
「……うお。教室の前でホモホモしい。邪魔なんだけど」
「あ、仲島おはよう」
「萩生、屋内おはようー!相変わらず仲いいわねお二人さん」
俺たちを避けつつ、教室の中に入っていった仲島七空(なっち)は、ぼーっとして窓の外を眺めている坂口由宇(ゆっぺ)の席までいき、思い切り擽り攻撃をくらわしていた。
自分の席行く前に坂口んとこって、お前らも相当仲良しよ?
そう思いうので……あ、仲島殴られた。
クラスの皆は、テンションに若干の差があるものの、時間が経つにつれてその差はなくなり、今までと変わらない雰囲気に戻った気がした。
そして変わらない学校生活が始まる。
「しかし黒く焼けた奴は、一見誰かわからないよな」
「白い歯が目立つよね」
「健康的に焼けた肌。青春の証ね」
「……詩は肌あんま焼けてないよね。日焼け止めの効果かな」
「ま、まあね。玲二も……って、玲二は外に出てないだけか」
「うん、僕は家の中で冒険してたよ。壮大な大冒険」
「それって、菊池先輩も?」
「いや、今はほとんど一緒にやってない」
「だよね」
「詩が一緒にやってくれると嬉しいんだけどなぁ」
「…だから俺は無理だって」
「はいそこ!私語は謹んでー!」
HRの時間、なぜか秋山絵里(ニコラ)に注意された。
そしてプリントを渡される。
……ん?
学園祭の模擬店企画案。
「詩ー、僕らのクラスって何やるの?」
「ん?何か甘いもの売るとか……そんなの女子たちが言ってなかった?」
「へぇー甘いものってグミ?ハイチュウとか?」
「甘いかそれ?そういうので掴み取りできそう!」
「あー俺やりたーい。メロンソーダつけてくれれば満足」
「俺餡子がいいなぁ。豆大福とかお汁粉とか」
「和風喫茶は他のクラスに決定してまーす!」
あ、そうなの……
「うちのクラスも喫茶店に決まりました。ワッフルと飲み物を販売しようと思いまーす!」
ともだちにシェアしよう!