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第239話 9月。

夏休み明けの学校はだるい。 でも久しぶりだから、少し新鮮な気持ちで登校した。 宿題もちゃんと終わらせたし、準備は万端だ! 久しぶりの学校、久しぶりの教室、久しぶりのクラスメイト……ちょっと緊張するんだよなー。 皆、俺の事覚えてるかな?教室に入るのドキドキするー! 「おーはよ!」 教室に入る前に、後ろから肩をたたかれて振り返ると、愛しの親友屋内玲二が立っていた。 「あー!玲二……おはようー!制服姿新鮮すぎー!君に会えてよかった」 「いえーい詩ー!また一緒に励もうぜー!」 教室の入口で、親友と会えたのが嬉しくて、心強くお互いに抱きしめ合った。 「……うお。教室の前でホモホモしい。邪魔なんだけど」 「あ、仲島おはよう」 「萩生、屋内おはようー!相変わらず仲いいわねお二人さん」 俺たちを避けつつ、教室の中に入っていった仲島七空(なっち)は、ぼーっとして窓の外を眺めている坂口由宇(ゆっぺ)の席までいき、思い切り擽り攻撃をくらわしていた。 自分の席行く前に坂口んとこって、お前らも相当仲良しよ? そう思いうので……あ、仲島殴られた。 クラスの皆は、テンションに若干の差があるものの、時間が経つにつれてその差はなくなり、今までと変わらない雰囲気に戻った気がした。 そして変わらない学校生活が始まる。 「しかし黒く焼けた奴は、一見誰かわからないよな」 「白い歯が目立つよね」 「健康的に焼けた肌。青春の証ね」 「……詩は肌あんま焼けてないよね。日焼け止めの効果かな」 「ま、まあね。玲二も……って、玲二は外に出てないだけか」 「うん、僕は家の中で冒険してたよ。壮大な大冒険」 「それって、菊池先輩も?」 「いや、今はほとんど一緒にやってない」 「だよね」 「詩が一緒にやってくれると嬉しいんだけどなぁ」 「…だから俺は無理だって」 「はいそこ!私語は謹んでー!」 HRの時間、なぜか秋山絵里(ニコラ)に注意された。 そしてプリントを渡される。 ……ん? 学園祭の模擬店企画案。 「詩ー、僕らのクラスって何やるの?」 「ん?何か甘いもの売るとか……そんなの女子たちが言ってなかった?」 「へぇー甘いものってグミ?ハイチュウとか?」 「甘いかそれ?そういうので掴み取りできそう!」 「あー俺やりたーい。メロンソーダつけてくれれば満足」 「俺餡子がいいなぁ。豆大福とかお汁粉とか」 「和風喫茶は他のクラスに決定してまーす!」 あ、そうなの…… 「うちのクラスも喫茶店に決まりました。ワッフルと飲み物を販売しようと思いまーす!」

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