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第242話
玲二と別れてから、駅前に来たついでに駅ビルにあるスーパーに寄った。
駅ビルだから近所のスーパーよりは少し高めな値段なんだけど、ここにしかない商品があったりするから行くと楽しい。
回転率がいいのか生鮮類新鮮だしな。
そこでうろうろしていた時……
「あ、ねぇ君……」
?
突然知らない子に声をかけられた。
制服着てるし、年は俺と同じくらいかな?
「……わぁ……やっぱりそうだー!」
「はい?」
「ねぇ君……宮ノ内くんの カ ノ ジョ さんだろ」
「……は?」
「ね!俺のこと覚えてない?前に夜の駅前でさぁ、おっさんに絡まれてたの助けてやったじゃん?思い出して~」
「……え」
……
!!!!
こ、こいつ!
じょ、女装して霧緒の予備校に行った時に会った奴だ!
髪の色は茶色ではないけど、あの時ナンパ野郎を追い払ってくれた奴に間違いなかった。
何……が、学生?
ノーネクタイで、白シャツにグレーのスラックスを履いている。
どこの生徒かちょっとわからない……
……
「あ、あの、人違いじゃ……ないかな……」
「間違えるわけないよ。顔、そのままじゃーん」
「い、いや……」
「あの時はウィッグして、可愛い服着てたよねぇ?」
「!」
「えっと、名前は……そう……ウタっていうんだよね?萩生詩くん。あはは……俺そういうの気になるとさ、調べちゃうんだよね~」
ニヤニヤと笑いながら奴は俺の手をとり……
「はーい!じゃ、ちょっとさ!お茶しに行こうぜ!あ、拒否権ないからね!」
問答無用に……
俺は本日2回目のお茶をするはめになってしまった。
頭の中が真っ白になる。
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