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第244話

「……そんなことして、どうにかなると思ってるの?」 「んー?」 「まずさ、決定的な証拠あんの?そもそもあいつ噂に興味ないから、そんなことしても効果は薄いと思うし、俺もばらされたとしても……そんなの……覚悟できてるから」 「あ、……何そうなの?証拠かぁ……言われてみたらないなぁ~」 「何かさぁ……お前本気で俺のこと脅そうって思ってる?話がおかしいって。男好きだって言ってる奴が、そんなのネタに強請ろうって発想がさぁ……証拠もないんじゃ説得力もないじゃん」 「……そうか?………そんな感じ?んー言われてみたらそうか、そうだなぁ。うーんー」 「……」 こ、こいつは阿保なんだろうか? 行き当たりばったりな感じがして、全然脅されてる感がない。 そもそも!決定的動画とか画像があるならまだ危機感増すけど、そんなの撮ってた感じもなかったし…… 目の前に向かい合っている奴は、焦る様子もなく首をかしげ、どうしようかと思案しているようだった。 アシンメトリーの髪型は、以前見たままだからもしかしたら、あの時だけ一時的に染めてたのかな。 「……そうか。詩ってこういうの騙されないタイプの人か。なるほど」 「……俺……もう帰るっ」 「あーっと!ちょーっと!まったあぁ!!!」 「……」 「わかった!じゃ、今度は正統派で攻めるから!ちゃんと聞いてて!あー本当俺って疑り深いからさー、詩のことどんな奴か知らなかったし。教えてもらえないし!ちゃんとした奴っぽくて安心した!」 「……は?」 そう言って奴は、自分のリュックからガサゴソ何かを探しだし、それをそのまま俺に手渡した。 学生証だ。 「……」 「これでちゃんと話聞いてくれよ」 ……は? 「……央咲中学校……ちゅ中学生----!?」 俺より背高いし!大人に見えるのに!!? 「そう」 「3年A組、屋内類……屋内……」 ……や……やない……? 「そ、俺……屋内類。詩の友達の屋内玲二の弟でーす!よろしくねーっ!」 てへぺろ!ってかわい子ぶりながらウインクされた。 …… 「ひゃぁぁ……」

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