246 / 506
第246話
テストを数日後に控えたある日、俺は宮ノ内先生のお宅へお邪魔しておりました。
はい、弁当持参でテスト勉強です。
……
「お、お願い致します」
「じゃ、ここまで進めようか」
「……は、はい」
「できたら言って」
「……あ、あの、この大事な時期に俺のテスト勉強見てもらって大丈夫でしょうか?そちらさん、やること沢山あるのでは……」
「……詩が問題解いてる間に俺も進めてるから問題ないよ。むしろ詩の方が済まないと、落ち着かないくらいだから」
「……が、頑張ります」
「ん」
霧緒の部屋のテーブルに対座し、黙々とテスト勉強に勤しむ。
前回のテスト勉強の時よりも、さらにパワーアップした指導に、俺はひぃひぃ言いながら問題を解いていた。
彼の勉強に対する姿勢は真面目で真剣だ。
なんだろう……この研ぎ澄まされた感じ。
修行?
うむ……人生修行だよな……
無駄な事なんてひとつもないんだ……うんうん。
そんなことをぼーっとしながら考えていたら……
「……ぃでっ!!」
……デコぴんされたぁ~!
おっかないよー!
追い詰められながら、少ない集中力で考える。
わからない所をすぐに教えてもらえるし、今まで解けなかった問題も解けるようになってきたから、ありがたいとは思っているんだけど。
「宮ノ内先生、できましたー」
「誰が先生だ」
身体から俺の魂が抜けそうになりながら夜遅くまで勉強する。
俺って……俺って偉いー!
「……うん、ここの範囲はわりとよく解けてるかな。じゃ、今日はここまでにするか」
「うえーい!やった!」
「もう遅いから、早く寝ろよ」
「ん」
最近は窓から窓のショートカットが便利で、あとは本当にベランダをぴょんと飛び越え寝るだけだ。
……
自分のノートや教科書などを纏めた後、まだ問題を解いている途中の霧緒の横にすすすと行き、肩に顎を乗せ張り付いてみた。
「……ん、どした」
「……ちょ、ちょいと……ぬくもりお持ち帰りしたいと」
持っているシャーペンを置き、霧緒の手が頭を撫で背中をさすってくれる。
「ちゃんと明日起きろよ」
「…う、うん頑張る」
身体をこちらに向けて両手いっぱいに抱きしめてくれた。
テスト前だからエッチはしないけど、やっぱりぎゅぅくらいはしてもらいたい。
それでも撫でる手つきが腰に集中して、やらしいな。
「うへへ……これで寝れるわーじゃ、おやすみー!さらばー」
「ん、おやすみ」
ベランダに出て、ぴょんと飛び越え自分の部屋に戻った。なんて楽チンなんだ!!
すでに寝る準備はしてるので、そのままごろりとベッドに横になる。
少しだけ霧緒の温もりと匂いがした……
あー早くテスト終われー!
ともだちにシェアしよう!