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第249話

ある日、自分の部屋でテスト勉強をしていると、スマホが鳴った。 類からの着信だ。 『10月の初めにさ、行きたいコンサートがあるんだけど、それに一緒に行って欲しいんだよね』 「コンサート?」 『そう、秋のクラシックコンサート。って言っても、色んな高校が集まって演奏するコンサートなんだけどさ。チケットが2枚あるから、詩一緒に行ってよ』 「何で俺?学校の友達と一緒に行けばいいじゃん。それか玲二と」 『ダチも!兄ちゃんも!!一緒に行きたくないから詩を誘ってんだよ!!!何が悲しくて学校の奴誘わなきゃいけねーんだ!ましてや兄ちゃんなんて……あー鳥肌ー』 ……そ、そんなにイヤなのか? 『ちょっと気になる学校があってー。そこの演奏聞きたいんだよ。でも……気軽に声かけられる友達なんていねーし。兄ちゃんにはそんな恥ずかしくて声かけらんねぇし。一人で行くのもちょっと気が引けるっていうか、チケットの発行枚数も決まっててさ、これ申し込み制だからちゃんと消化しないと、次回のチケット取れなくなるかもしれないんだよ』 「はぁ……」 『親友の可愛い弟を助けると思って!詩お願い!』 「そうだなぁ」 『お礼に詩になら抱かれてもいい!あ、それか抱いて欲しいなら……』 「そんなのいらんっ!!!!」 『ちっ……ねー!たーのーむーよー!俺……本当……友達……いないんだよ……』 う……そう言われると心がなんか痛い。 …え、マジで…類って、友達いないのかな? …… 「…………………今回だけだぞ」 『……』 「いいよ。コンサート付き合ってやるよ」 『わー!あ、り、が、と!!詩っていいやつだな!兄ちゃんに好かれるわけだ!兄ちゃんとさーテンション?似てんだよね、詩って』 「そうかぁ?」 『似てる!ぼけぼけのところ!じゃ、来月初めの土曜空けとけよー!!じゃぁなー!』 ぼ、ぼけぼけ? 俺はまだぼけてないぞ! 玲二は……あいつはちょっと天然ボケだけど。 「コンサートかぁ……」 スマホを見つめながらため息をついた。 やれやれ…… 何か類に上手いことのせられてるような気がするけど、クラシックコンサートってどんなのかほんの少し興味あるしな。 「さささ、もうちょっとがんばろーーー!」 一人で気合を入れて、再び机に向かうのであった。

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