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第259話 10月。
それから数日経ったある日。
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都内の某ホテルの一室。
その部屋のベッドの上に、俺萩生詩は横たわっていた。
何故こんな豪華なベッドに寝かされているのかわからない。
横たわる俺に近づく一人の男性の姿。
様子を伺っているのか、まじまじと眺められる。
「……ふぅん。……可愛い顔してんじゃん」
頬から顎を指先で撫で、その人物は呟く。
「肌も綺麗で滑らかだ……」
長い指先で、頬を何度も何度もゆっくりと撫で続け、少し間をおいてベッドが軋んだ。
男性が覆い被さるように、俺に馬乗りになり上から凝視している。
……
暫く舐めるように見ていた、視線が一点でとまり、凍てつくような、または炎が噴き出すような恐ろしい表情へと変わった。
……首筋に残る、消えそうな痣。
それは霧緒が先日つけたキスマークに他ならない。
……
そいつは俺のシャツのボタンを、馬乗りになったまま一つずつゆっくりと上から外していく。
外してくたびに、一つ二つと現れ増えていく痣。もう消えそうなものが殆どだけれど、彼にはそれが何だかわかっているようだ。
愛された証。
お恥ずかしながら、毎回身体のあちこちに残されるわけで……
「……へぇ……やることヤってるってわけかよ」
シャツのボタンが外され、その間から覗く胸の突起を指先で軽く擦られる。
意識はないのに、ピクリと小さく反応してしまう身体。
……それを見て、男性がニヤリと笑う。
「感度いいんだぁ……可愛いね」
優しく髪を撫でる……
「じゃ、今度は俺が気持ちよくしてあげる……」
うっとりと囁くその言葉は俺には届かない。
只々ベッドに転がり、スヤスヤと眠りに落ちていた……
ゆっくりとゆっくりと……ベッドが軋む……
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