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第263話
宗太
ところ変わってここは屋内家。
俺、菊池ね。
愛しの玲二くんに休日に会えて、相当ご機嫌な俺なんだけど、さっき駅で類と萩生に会ったことが少し気になり、屋内に伝えてみた。
「え」
「……ん、類に駅で会った」
「……うん……で、その次……」
「萩生もいたぞ」
「?」
屋内の顔が、今まで見たことないような表情の変わったので、あ……これはとなった。
今日は久しぶりに屋内の家に遊びに行く約束をしていて、その途中駅で類と萩生に遭遇したのだ。
普通に仲が良さそうだったから、以前の屋内の警戒はとけたのかと思ったんだけど、どうやらそうではなかったようだ。
「ななななんで……類と詩が……?」
「さぁ?全然わからないけど、どこか二人で電車乗って出かけて行ったぞ」
「え、え、えええええ!!?嘘っ!!どこに?!!」
バッとスマホを手に取り、ぽちぽちと操作して詩に連絡しているようだった。
「あああああ電源がっ!入ってないっ!!うったー!!」
思い切りあわあわ動揺している屋内が可愛いんだけど。とか思いつつも、どうやら本当に焦ってるようなので、話を聞いてみることにした。
屋内の身体を引き寄せ、背中をとんとんして落ち着くように促す。
「そんなに類と詩が一緒にいるのがおかしいのか」
「お、おかしい!そもそも僕、類に詩を紹介してないし!詩も類を知らないはずだし!」
「まぁ、接点がよくわからないけれど、二人一緒にいたのは確かだし。でもそんなに類は詩にとって危険なのか?そこがよくわからないんだけど……」
屋内は複雑そうな表情を浮かべている。
「……い、今、類は恋人と大喧嘩中でさ、やけっぱちになってるから、詩に手を出す可能性高い……かも」
「……はー手を出す……か……」
「やられたらやり返すみたいな?浮気された!ってこの間叫んでたから……」
「……」
その瞬間、ぱっと思い浮かぶ親友の顔。
手を出さなくても、類と萩生が出掛けること自体あいつは許さないだろうな。
万が一、万が一だけど、類が萩生に手を出したら?
……ゴクリ……
あー……
えーと……
それはそれは、やばいんじゃね?
……あいつがこのこと……知ってる訳はないよな。
どこかで類が萩生に声をかけたのか?
でも類は萩生の容姿を知らないはずだし……
って、実際二人でいたんだから、そんなことを今考えても仕方がないか。
「玲二。類が萩生とどこに行ったか分からないか?行きそうな場所とか」
「え……わ、わからない……えーと」
「落ち着いてよく考えて?あいつら、都心に向かう急行に乗って行ったぞ」
「う、うん……」
溜息をつき、まずは二人がどこに行ったか場所の確定だ。
……あいつに連絡するのはそれからだわ。
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