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第273話

「詩、具合……大丈夫?」 「うん、平気そう。玲二有難う。菊池先輩もごめんなさい。折角の休みだったのに、こんなことになって」 「あー気にするな!もとはといえば、あっちが悪いからな。頼み事あるならさーもっと素直にお願いすればいいのにな。できないものかねぇ」 「誰に似たのか、本当そこんとこ曲がってて…宮ノ内式お仕置きしておくから!!」 両手でぎゅっと拳を作る玲二。 み、宮ノ内式…って何? 「あーえっとお仕置きはほどほどでいいから」 「詩はとりあえず帰って休んだ方がいいかも。まだ顔色悪いし。僕たち類を連れて帰るから詩達先帰って」 「萩生、こいつかなり余裕なかったから安心させてやって。じゃないと俺がさー困るから。月曜日までに機嫌リセットしておいてな!それお前の仕事わかったか萩生?」 「は、はい!」 そう笑う菊池先輩って、本当その場を和ませることがうまい。 包容力って言うのかな? 霧緒には全然ない能力だと感心してしまった。 「……うるせぇ」 無表情に隣で呟くのをちらりと眺める。 カッコいいけど、冷たい態度は相変わらず。 何を考えてるかわからないし、とっつきにくい。確かにそうかもしれない。 「へへ…」 そう思うと笑いが込み上げてきてしまった。 チラリと無機質な視線を感じる。 ぽんと頭を軽く叩く感触。 「行くぞ」 「うん、じゃ、先帰るね」 「詩また連絡する!」 「ちゃんと休めよー!」 「おーう!あーーっとあの~先帰りま……ふがっ!」 奥にいた類たちに声をかけたら、霧緒に手の平で口を塞がれてしまった。 「何あいつらに挨拶してんだよっ!行くぞ」 「……」 微妙な視線を感じつつも、手だけひらひらさせてその場を後にした。

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