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第275話
霧緒んちに着くなり、霧緒は給湯スイッチを押し湯船を溜める。
俺は真っすぐ脱衣所に連れていかれ、服をすべて脱がされ、洗濯機に全て入れられてしまった……
「あぁ!カーディガンは別にしてっ!ふぇっくしょん!」
下着も剥ぎ取られて思わずくしゃみが!
抗議したらカーディガンは別洗いしてもらえるみたいで、ほっと一安心。
むすっとしたまま霧緒も衣服を脱ぎ捨て、全裸になり二人でシャワーを浴びる。
……やっぱり霧緒は無言で、どことなく態度が荒っぽい。
お、怒ってるなぁ。
頭から湯をかけられ、されるがままになっている俺。
熱いシャワーのおかげで身体が軽くなった気がするんだけど、改めて今日のことを振り返り後悔していた。
こんなことになるとは思いもよらなかったけど、原因を作ってしまった責任は俺にある。
ふわりと良い香りが浴室に立ち込めた。
それがシャンプーの香りだと何回も使っているので知っている。
……好きな香りだ。
わしわしと頭部を洗われる。
……無言で洗われていて何だか落ち着かない。
シャワーは身体が冷えないように出しっぱなしにしているので、浴室内も温まってきていた。
滑らかな白い泡が、首を伝い肩へ落ちてくる。
少し横を向くと、霧緒の腕も当然泡だらけで、泡がぽたりとお湯と混ざり落ちてゆく。
その様子を、身体が温まるのをぼんやり感じながら、瞳を細め見ていた。
何気なく霧緒の腕に絡む泡を手の平で掬い取る。
掬い取った泡は、すぐに水滴とまざり排水口へと流れて行ってしまった。
反対側も同じようにしてしみると、またやりたくなる。泡が欲しくて、今度は霧緒の綺麗な肘を触って撫でる。
「………なにやってんだ」
……う。
くるりと後ろを向くと、ムスっとしている不機嫌そうな顔があった。
怖い顔してるけど、ちゃんと丁寧に髪を洗ってくれてるところはいつもの霧緒で、そう思ったら何だか嬉しくなってきてしまった。
そのまま霧緒の方を向いて抱き着き、ちゅっと整った唇に自分の唇を押し当てた。
全く予期していなかったキスに驚く霧緒が可愛いと思ってしまったけれど、それは俺だけの秘密にして、はむはむと唇を啄む。
すぐに腕が背中に回り抱きしめられ、深いキスが返ってくる。
ぬちゃりと舌が絡み合う……
「……ん……苦い……」
「……」
「………あっ!目が……!目がーーっ!!痛いっ!」
「ばーかっ!ワザとなのかボケてるのかわからん!」
キスの途中でシャンプーの泡が垂れ、目や口に入って大変なことになってしまった!
ザーーーーっとシャワーをかけてもらい、泡を綺麗に洗い流してもらう。
「ったく……終わるまでじっとしてろ」
「うう……すみません」
また怒られてしまった。
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