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第284話 *

霧緒 詩の履いていたズボンを剥ぎ取り、椅子に引っかける。 俺は椅子から動く気はさらさらなくて、ただ視線だけを詩に向けた。 …… ベッドの上で凍ったように動かない詩を眺め、恋人の行動を見守る。 ……実際詩は被害者だ。 ただ他人のいざこざに巻き込まれただけだから、怒る相手を間違えてるとは思う。 そうだとわかっていても、気持ちは冷静に素直になれずにいた。 ……俺にひとこと言っておいてくれてもいいのに。 他人にあちこち触らせてんじゃねーよ! 完全に面白くないだけなんだけど、こいつには俺の恋人だってことをもっと自覚して欲しい。 俺のモノなのに、あっちこっちちょろちょろしてんじゃねー!! 今日いた奴らにかなり嫉妬した。 別に小さい男だって思われてもいい。 余裕なんて全然ないんだ。 暫くして、意を決したように下半身に手を伸ばし、不安そうに扱き始める姿をじっと見つめていた。 恥ずかしくて顔を上げられない詩は、俯きながら陰茎を上下に扱きあげていく。 ちゅ……くちゅ…… 聞こえはじめる小さな水音が部屋に響き始め、じっとりと先が濡れている様子がここからでもわかった。 詰まるように苦しむような声、肩を震わせながらくちゅくちゅと慰めている恋人の姿が可愛らしい。 俯き瞳に前髪がかかり表情がよく見えないのが悔しいな。 そのうちに座っていれなくなったのか、ころりと寝転んだ時の詩の艶めかしい姿に見とれてしまった。 感じ始めたのか、濡れる唇は半開きで、柔らかい前髪の隙間から覗く瞳は潤み、頬は欲情的に赤みを帯びている。 細身の腰のラインがパジャマからするりと覗き、それが色っぽくて視線を外すことができなかった。 普段の詩からは想像できない自虐姿を、こっそり覗き見しているようで興奮する。 可愛いというよりエロずぎだろ。 許す許さないとか忘れて、恋人のエロい行為をうっとりと眺めた。 よがり可愛らしい陰茎を自分のいいように上下させ扱く姿は何とも言えなくくらい卑猥だ。 喘きながら「キリ……」と呟かれれば、嬉しくてニヤついてしまう。 こいつの頭の中の俺は、何をしてやっているんだろう。 ひとりエッチの最中なのに、思い切り抱き着きキスしたい。 すぐ挿れてぇ…… なかなかイケないのか、苦しそうに泣き出すその姿が本当に愛おしくて可愛かった。 うん。今度また何かしでかしたら、オナニーさせよう! そう硬く誓った俺だった。

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