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第285話
「………そろそろ、ばーちゃんに何か言われそう」
次の日の朝。
目の前で寝ているイケメンの寝顔を見ながら、俺はぼそりと呟いた。
「あなたたち!お泊りが多すぎよ!不健全男子高校生っ!孫ハレンチー!…とは言わなそうだけど、それくらいのことは思ってるような気が」
何か小言を言われたことはないけれど、逆にそれが怖い。
さてさて、身体が全身が痛いですよー。
噛まれた首筋を筆頭に、色々じんじんするんだけど。
「……ついに詩くんの身体はぶっ壊れたかなぁ。股関節ヤバいなぁ……」
覚えてるだけでも、あんなことこんなことしちゃってエッチな高校生でごめんなさい。
それもこれもこの人がエロいからなんですよー。
って目の前で寝コケてる人物のせいにする。
あれだ…ほとばしるエロ。
「エロエロ星人。今日の予定は~?」
目の前の整った顔のほっぺたを、軽くふにっと摘まんで引っ張ってみると、瞼がぴくりと震え眩しそうに瞳をあけた。
「……喋る元気があるならする?朝セックス」
「け、結構です」
「……眠い……」
頬に触れていた手をとり、指を絡めきゅっと握りしめると、霧緒はそのまま再び寝てしまった。
ね、寝た……二度寝かよ。
相変わらず睫毛長いなぁ。わっさーって感じ。
んー……このまま起きてもいいけど、もうちょっと余韻に浸りたい。
もそもそと霧緒の腕の中に身体を寄せると、腕が伸びてきて抱きしめられる。
温かい体温が……鼓動が……寝息すら全てが心地好い……
あー駄目!これ……寝る……寝るわ。
力が抜けるくらい幸せを感じ……
……スヤァ……
結局、昼近くまで寝てしまったのであった。
十分イチャイチャしたおかげで、霧緒の機嫌も元通りになった。
菊池先輩のご希望通り、月曜日にはいつも通りのクール宮ノ内霧緒をお届けできた!!
そして……
「はい、削除しましたー」
「ん」
俺のスマホ画面を満足そうに眺める彼氏はご機嫌だ。
何故なら俺のスマホから屋内類のアドレスが削除されたから。
……類はまだ許されていない。
霧緒にも、兄の玲二にも。
今や霧緒より、兄玲二の方が激おこだったりする。
類……生きてるかな……
だけどあの日、類と聴いたオーケストラの音色はとても美しく、心の中で響いていて忘れることが出来ない。
それくらい素敵だった。
また…
また聴けたら良いなぁ。
あ、次回は勿論霧緒とね!
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