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第287話 学園祭。
類の騒動がなんとか落ち着き、俺に再び平和が戻った。
平和が一番だなぁ……うん!
さてさて、俺たちの学校は学園祭の準備で毎日慌ただしい。
すでにお祭り気分で、皆忙しそうにしながらも楽しそうだ。
うんうん、俺も楽しい!
ここは家庭科室。
……
「……これ、何?」
「試作品」
「何の?」
「ワッフルに決まってるでしょー!」
可愛らしいカップに入った、得体のしれない物体を手にし、それを見つめる。
?
あれ?俺の知ってるワッフルと違う……
添えてある液状のものは、もしかして生クリームだろうか、カスタードだろうか。
ま、まぁ見た目は置いといて、とりあえず味だ味!
添えてあるミニフォークに、フルフル感のあるワッフルを刺して口に運んでみた。
……
クラスの女子を中心に、家庭科室を借りてワッフルの試作をしてるというので、どんなものかと覗いてみたのだ。
そこの萩生~!ちょっと試食してみて!と声をかけられたので、味見をすることになったんだけど……
「プレーン味とパンプキン味を作ってみたんだけどさ。どう?これにホイップクリーム。ホイップにチョコレートソースかキャラメルソースかけて出来上がり!」
「………い」
「なに?」
「まずい!!!」
「「はぁああああ!!!」」
和やかな雰囲気を一瞬にして殺気だたせた俺なんだけど!
そんなことどうでもいいくらいまずかった!
サックリするはずの生地は生焼けで、何故かジャリィと口の中で広がる甘さと謎の苦さ。
ホイップクリームだろう液体は、市販のものを使っているのに分離していて気持ち悪い。
チョコレートソースだけがちゃんとした味をしていて、その他はヤバいくらい美味しくなかった。
「はぁ?萩生!お前何様っ!」
「これ作った奴だれだ!ちゃんと味見したんだろうなー!」
「ちゃ、ちゃんとしたに決まってんでしょー!!ちょっと焼けてないとこあるけど、半生感あって美味しいじゃーん?」
「半生?ってじゃぁここに転がってる隕石みたいな物体は何だよ?」
「……え、ちょーーっと焦げたワッフル?」
ちょっと焦げたどころじゃねぇだろ!!!
真っ黒に焦げたワッフルが、無残にも大量に大皿にのせられていた。
「ちょっと……火加減難しくてさー」
「中火って何?弱火ってどこまでが弱火なのか……微妙?」
「そそ!お菓子作りってしたことないから……あー!ってじゃなくて、火加減は奥が深いからさー!」
「つまり、もっとチョコソースをたっぷりとかけたらいいんじゃない?」
「「あーそれそれ!」」
……
きゃっきゃと盛り上がる女子たちって、最強だと思った。
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