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第291話 *

霧緒 こちらは変わって、3年生のクラス。 「ヤバいって……」 「う、うんヤバい……宮ノ内~ヤバい」 「完全孕むでしょ。本当……私このクラスになれてよかったぁ!」 「私もー!!」 クラスの女子達が、泣きながら白衣を着た俺を眺める。 小道具の細目のフレームの眼鏡をかけたら、眼鏡萌えでクラスの女子たちが孕みだした。勿論妄想な。 ……その発言からして女子たちはおかしい。 ってもういい加減そういうの慣れたけど。 「そんなに簡単に孕んでどうすんだよ。ほらほら仕事しろ」 「えー!もっと宮ノ内のこと見てたいのにぃ!」 「急がないと準備ヤバいんじゃね?飾り付けまだ途中なんだろ?」 「そうなんだけどー!って……あー!見て!菊池きたー!菊池もカッコいいー!!」 教室は板や黒いカーテン、ダンボールで仕切られていて狭い。 廃校らしく、古びたあやしい雰囲気をつくるのに苦戦したけれど、この短期間でよく再現できたと思う。 今はオープン前で明かりが付いているけど、本番はほぼ真っ暗になる予定だ。 ひょいと現れた宗太も白衣を着ている。 白衣には血糊がべったりと付けられており、恐怖感が演出されていた。 さすが実行委員……気合が感じられるわ。 「おー!保健室のエロ宮ノ内先生って感じ?でてるー!呪いをかけられるというより、子作り部屋って感じ?」 「宗太は監禁して、如何わしいことしそうな危ない理科の先生?何そのロープ。縛り上げるの?」 「違う!備品だ備品。ほれ、こっちはお前の商売道具。使いすぎ注意で。クレーム来るの嫌だし、衣類とか髪も避けてな。脅かすぐらいに使って」 渡されたのは、脅かす用の不快感を煽るスライムだ。 毎回使ってたらすぐなくなりそうだな。 「……おかわりある?」 「ストックあと二つ」 小さなバケツのような容器に入っているスライムをすくってみると、冷たいものが指にまと割りつく感触で気持ち悪い。。 全員に使うと、すぐなくなるだろうから、わかりやすく反応する学生中心に使用した方がいいかな。 気に入らない奴には投げつけてやろう。 そう思いつつそれを手に取り、そのまま宗太の手首をぬるりと握りしめてみた。 「きゃー!怖い!気持ち悪っ!って言うかやらしい!その顔だから女子からしたら恐怖というよりは操の危機って感じだな。血糊を顔につけちまおう。特殊メイク」 「別にいいけど、暗くなれば顔なんて見えないだろ」 「もう保健室は宮ノ内が担当だって情報は流れてるから、念のためやっておいた方がいいぞ。下心あってもビビれば逃げるだろ。おー!それっぽくなってきた!包帯とかあったよな?死人というかゾンビ?いいね!」 宗太に血糊で顔を痛々しく作ってもらった後にスマホが震えた。 お? 詩からだ。 『急きょメイド服を着用することになったので前もってお知らせしておきます。玲二もです!←でもこれ菊池先輩には極秘なー!サプライズ!』 …… は? 頭の中で整理してると、またメッセージが入った。 『怒らないでおくんなし』 ……

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