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第302話 クリスマス編1 12月

12月に入り、寒さも冬本番で乾燥した寒い日が続いていて、寒暖差が激しいこのところの天気に俺は振り回されていた。 「ふぇっくしゅ!」 「……変なくしゃみだな。風邪か?」 「んー違う噂だ噂。誰かが今日も俺の噂を」 「……あー最近、モテモテの詩くんの噂」 「いや……そんなんでは……あははあはは」 学校が終わり、今日は霧緒の予備校が休講で、珍しく二人駅前で茶をしていた。 珈琲のいい香り漂うあたたかなカフェのカウンターに腰かけて、行きかう人の流れを眺めつつ、まったりとした時間を過ごしている。 「しっかし……物好きな奴もいるもんだよなー俺の事好きだなんて」 「……物好きで悪かったな」 「……」 おう……? あ、そうだ!一番近くに物好きがいたわ! そう思いつつ俺の隣に座ってカフェオレを飲んでいるイケメンの顔を見た。 相変わらず何考えてるか分からない無表情な顔は、ずっと見ていても飽きないくらい整っていて美形である。 そんな彼、宮ノ内霧緒が愛してやまないのが俺萩生詩で、男同士だけど相思相愛のラブラブカップルなのだ。 ……うわー!自分で言っていて恥ずかしいな。 そうそう、そんな俺萩生詩はなんとっ!先日女子から告白をされてしまったのです!!一緒にいた玲二くんもびっくりよ! 自分の下駄箱に入っていた、小さな可愛らしいうさぎさんの封筒は、冗談なしのラブレターだった。 どうやら学園祭で俺の事を見かけて好きになったらしい。 メイド服?着ぐるみ?どっちの俺がよかったのさ?そう思いつつ、その可愛い手紙を読み正直ニヨニヨしてしまった。 後で聞いたら、メイド服姿の俺がとっても可愛くて、萌え死んだらしい……ふ、ふーん…… 理由はどうあれ、誰かに好かれるのは悪い気はしないし嬉しい。 でも俺には恋人がいて、そいつと付き合っている訳で。 当然その子が望む答えを出してあげることはできないので、丁重にお断りをした。 当然このことは霧緒にも報告済みなんだけど、ちょっとラブレターもらって浮かれてた俺の反応が気に入らなかったのか、ねっちょりとしたしつこいエッチをする羽目になってしまった。 ああ……やだやだ正直気持ちよかった。 愛されるってやらしいことなのね。 「……で、なんで顔がニヤついてんだよ」 「いやぁ何でもないですっ!物好きさんは1人でいいやーって思っただけす」 「ん」 甘くてあったかいカプチーノを飲みながら、たわいもない会話をする。 街並みは赤いカラーを中心に金銀緑でクリスマスの雰囲気が漂う。 そう言えば、メニューにもクリスマス限定みたいのがあったな。 行きかう人の流れは、師走のせいもあるのかいつもより忙しく足早に感じる。 今年ももう終わりなのかー。 「行くか」 「うん、あそうだ!これ帰りがけにしていく」 「何」 「福引」 この町内一体でやっている年末恒例の福引。 500円で一枚貰えて10枚たまると、一回福引ができるというものだ。 「今1枚もらったから丁度10枚一回できるよ!」 「どこでやってんの?ポケットティッシュ引き換え所」 「うおらー!夢は大きくっ!!」 「はいはい。ほら行くぞ」 チャコールグレーのマフラーは、顔の一部です。っていうくらいマフラーが似合う霧緒と一緒にカフェを後にした。 そして…… カランカラン!! 「大当たりーーーー!!!クリスマス限定!夜景キラキラホテルペア宿泊券プレゼントー!!」 「え」 「おー」 一度の福引でなんと1等を当ててしまったのであった。 ふおおおおおお!!!?

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