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第305話 クリスマス編4 クリスマスイブ

24日、クリスマスイブは今年は日曜日。 街は人が多くて、クリスマスモード一色だった。 イルミネーションがキラキラと輝き、クリスマスシーズンは街を歩いているだけでもテンションが上がる! 「うーん」 「俺、どっちでもいいかな」 「おーよ……」 「……」 クリスマスイブ当日、霧緒と二人ホテルにチェックインするまでの間、クリスマスプレゼントを買おうと都内のとあるお店に行ってプレゼント選びをしています。 そんなにお金があるわけじゃないから、霧緒の誕生日みたく、大きなモノは買えないのでキーホルダーかカードケースのどちらかにしようと話し合って……悩んでおります。 目の前には革製のキーホルダーとカードケース。 どっちもシンプルなデザインで、ずっと使えそうな品物。 ブラウンが俺ならブラックは霧緒かなぁ。 でもどっちにするかなぁ…… どっちもいいけどなぁ…… 「おい、ショーケースが曇るからそんなに近づくなって。品物出してもらってるんだから」 「んーーーどっちもいい……」 「両方だと予算オーバー」 「ぐぬぬ……つら……」 「あはは、真剣だね。ゆっくり選んでね」 お髭のついてる店員のおじさんに笑われた。 店内は革製品の独特な匂いに包まれていて、忙しい時期で店内も混んでいるのに、急かさないおじさんの心の広さに感動。 「……よし!キーホルダー!」 「はい、決定ー。じゃ、これお願いします」 「はい。じゃぁ、20分ほどお待ちくださいね」 そう言っておじさんは店内の奥へ。サービスで名前を入れてくれるのだ。 「えーこのトートバッグめっちゃいいな!3万か!高い!」 「一枚もののオイルヌメレザーだって。でも安い方だよ」 「ほら、ほら!似合う!」 「え、何買ってくれんの?」 試しにブラウンの持ち手の短いトートバッグを霧緒に持たせてみたら、クソ似合うんだけど! って興奮してたら、そうだイケメンは何でも似合うんだと気がついた俺でした。 くそう……カッコいいったらありゃしない。 隣のカップルのお姉さんだって、霧緒をチラチラ見ているくらいだ! 残念でしたな……こいつは俺の彼氏なんですよ。 暫く向かいのカフェで珈琲を飲みながら品物ができるまで軽く時間を潰す。 「はい、有難うね!」 ラッピングされた箱がそれぞれ入った紙袋を二つ受け取りホテルへ向かった。 ****** そこは都心とは思えない閑静な場所で、落ち着いた雰囲気のホテル。 シックなインテリアでまとめられた館内は気品と風格が溢れ、とっても大人な上品な感じだ。 最初は場違いな感じがしたけど、賑やかな家族連れや外国人もいたので少し安心した。 「中学生だと思われたら面倒だから、俺がチェックインしてくるわ。そこ座ってろ」 「えー!……」 そんな捨て台詞を残して、フロントに向かう霧緒。 俺は大人しくエントランスロビーのソファーに腰かけて待っていた。 上品な雰囲気のせいか、自然と背筋が伸びてしまい座るのにも緊張してしまう。 凄いなどこもピカピカで埃がないなぁーいつ掃除してるんだろうな。 その辺に置いてあるオブジェもオシャレだし、このソファー……持って帰りたいくらい座り心地がいい! 飾り付けされたクリスマスツリーがキラキラと輝いていた。 「口が開きっぱなしだぞ」 ぽんと頭を叩かれ我に返る。 ホテルのパンフを手にした霧緒がすぐ脇に立っていた。 「終わった?」 「ん」 「そーかそーか!じゃ、行こう」 「そっちじゃなくて、こっちだ」 「……あ、はい」

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