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第326話

「え、チョコ……まぁ貰ってたよ。普通に」 な、なんでしょう…… 霧緒くんとの距離が、大分近いんですが? そう思いながら、目の前のイケメン彼氏を見つめた。 睫毛長い。下睫毛がエロい。無機質な澄んだ瞳がまっすぐ俺を見つめていて、キュンしてしまう自分がいる。 背中に回された手が、何度も襟足や首筋を撫でるので、くすぐったいし嬉しいしでめっちゃ戸惑う。 バレンタインは聞いたら全然興味ないみたいだった。 霧緒はチョコレート好きじゃないから無理ないか。 それにあんな嫌な顔するくらいだから、バレンタインデーというイベント自体に良い印象も思い出もないんだろう。モテ過ぎる、イケメンならではの贅沢な悩みか? 興味ないなら要らないか……って思ったんだけど、なんだ?いるのか? 「ね、何くれんの?チョコまみれの詩くん?」 「ぶ!!ま、まみれるかっ!あげるのは、普通のチョコだよ」 ふぅ~とおでこに息を吹きかけられて、お眉がピクピクしてしまう。 形の良い薄くて綺麗な唇はエロい。至近距離からガン見されてるー! 急に甘い雰囲気になるから、心の準備ができずにあわあわしてしまう。 「詩がくれるなら、普通のチョコでもいいけど……さ……」 ぺろ…… と首筋に這わせる舌が舐めながら移動していき、ところどころにキスをしていく。 ゾワリ……としてドキドキして……気持ちいい。 「キリ……だ、駄目……」 「何が……駄目……?」 舐められ吐息混じりのキスをされたら、どうしてもその先またその先を想像してしまう。 霧緒の受験が終わるまで、エッチはしないと一応約束をしている。 あと少しって言うか!この彼氏っ!受験生だから正直バレンタインどころではないのだ! 「……ば、馬鹿。試験が全部終わってからだって言っただろ……駄目。んなことされたらし、したくなるから!本当やめい」 「それさぁ……詩が一方的に言ってるだけだよな…俺はいつでもどこでも……」 「だ、だ駄目駄目!んなこと駄目に決まってるだろ!エッチしすぎが原因で宮ノ内霧緒、大学落ちましたってなったら大変だって!!」 「落ちてねーし。お前、どんだけ俺とヤろうとしてんの」 「とととにかーく!!エロは我慢だ!我慢!試験に集中受験生!」 「……じゃぁバレンタイン当日な?最後の試験14日だからわかったか?」 覚悟してろよ。っていう視線を送られてちょっと怯んだけど、負けてられるか!大事な試験が終わるまでは絶対駄目!ったくこっちだって!こっちだって我慢してるんだからなぁ!! 偉いな俺ーー!

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