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第327話
一年前に引っ越して来て、すぐに見かけた知らない女の先輩に、今頃嫉妬するなんて俺としたことが…
あの時はあの先輩がうち…椿家の隣に住んでると早とちりしたんだよなぁ。
でも…住んでいたのは全然違う奴だった…
…
霧緒と別れ椿家に戻ってから、居間のこたつに入りゴロゴロする。
スマホで好みのチーズケーキのレシピを調べてみたり…玲二に連絡してみたり…
…一年なんて…あっという間だ…はじまったばかりの高校生活なのに、もう霧緒が卒業してしまう。
…はぁ……
霧緒の大学受験は当然順調で、希望の大学に行けそうだ。
それはめでたい。
そりゃ良かった。
赤飯炊いてやるぜ。
…
だけどなぁ…
あーあ、
心からお祝いしたい気持ちとは別に抱いてしまうこの感情…
「おこた…あったかーい……マジぬくもるわー」
…
ワガママだって百も承知なんだけど、まだまだ霧緒と一緒に高校生活したい。
留年して来年度も一緒に通おうぜ!なーんて馬鹿なこと考えてみたり。
俺が高二で霧緒は大学生なんて…差が有りすぎだろ。
大学生って響きが大人過ぎる。
それに…
絶対またモテるに決まってんじゃんかー!!
「だーー!!俺の彼氏が女子大生の餌食に…!!くっそう…お前らなんかにやらんぞぉぉ!!」
こたつの中で憤慨し一人でじたばたする。
…
もう…結局は寂しくて仕方がないんだ。
近くにいて欲しい…どんどん俺から離れて行ってしまいそうで不安になる。
…今の俺は何をやればいいんだろう。
どうしたらあいつに近づくことがでくるのか…誰か教えて欲しい。
救いなのは家が隣だということだ。
「学校から帰ったら~あえ~る」
そんなことを呟きつつうつ伏せになりスマホを無意識に弄っていると、一つメッセージが入ってきたのでそれに目を通した。
「あ」
…
…?
久しぶりの名前に懐かしさが広がる!
メッセージの相手は霧緒の母、宮ノ内友子さんの恋人の園田汐里さんだった。
料理が上手でカッコいい男前な園田さんの姿を思いだしながらメッセージの返信をする。
お?おお?
何だって?
どうやら今日本にいるらしい。
話したいことがあるから、霧緒と三人でご飯食べに行こうって内容だった。
俺は全然構わないけど、園田さんのことが苦手な霧緒はどうだろう。
まぁ俺がいるし、ちゃんと話すれば大丈夫だろう。
うんうん。
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