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第333話 菊池のバレンタイン2

屋内 久しぶりに会った菊池先輩は、遠目からでも目立っていて、他の生徒たちから声をかけられたりして相変わらず人気だった。 あ、チョコ貰ってる。 女の子からチョコを手渡されて、にこにこそれを受け取る菊池先輩。 ちょっとというか、結構面白くないんだけど…… でも仕方ないことだと受け止めて、先輩に声をかけた。 凄いドキドキするなぁ…… 自分よりも身長のある菊池先輩を見上げ、並んで学校を後にした。 ソワソワと落ち着かない気持ちで菊池先輩について行く。 いつもどんな話題で盛り上がっていたっけ? 無言で歩く時間がもったいない気がして色々考えるけれど、何も浮かんでこなかった。 それならもう渡してしまえ! そう思い歩きながら菊池先輩にチョコを手渡す。 「……これってチョコ?屋内が作ったの?」 歩きながら小さな茶色の紙袋の中身を覗く菊池先輩は嬉しそう。 良かった。喜んでくれてるみたいだ。 「はい、これ頑張って詩に教えてもらいながら作ってみました!味ちゃんとチョコなんで大丈夫です!」 「ちゃんとチョコ……はは……ありがとう」 「も、勿論!先輩限定ですっ!」 少し照れながら微笑む菊池先輩の表情に、自分の心がホッとするのがわかった。 ……わぁ~嬉しいなぁ…… 自分の進路に向き合って真剣に頑張っている菊池先輩は、もう自分の事なんてもう好きじゃないんじゃないかとか、心変わりしてしまったんじゃないかと実は不安だった。 『バレンタインデーくらい、どかんと言ってもバチは当たらないからさ!玲二言ってやろうぜ!』 チョコを作りながら、詩と冗談半分で話して、面白半分で言おうと決めたセリフがあった。 「屋内からのチョコ、マジ超嬉しいわ。大事に食べるから」 「はい!食べてください。それと……」 「ん?」 「僕の事もっ!食べてくださいね?いつでも大丈夫なんで!」 恥ずかしいから、面白半分で茶化しながらだけど……! はっきり言って本音なんです!! 僕の事も食べて欲しい!!! !!!! ゴ……!!! 「!イッーー…っ!!」 目の前の電柱に、菊池先輩が激突してしまって驚いた!

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