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其の肆

「聡一さま・・・」 言葉が続かない。 本当に俺などが聡一さまに触れても良いのだろうか? そんなことが許されるのだろうか? 俺など映っていない聡一さまの眼が 俺をジッと見つめていた。 その眼が一瞬、翳って 「嫌ならいい」 そう、呟やかれたかと思うと 視線を下に移し瞼を閉じてしまわれた。 そのお姿は 何時もの気丈な聡一さまと違って・・・ 俺は聡一さまを抱きしめた。 今、抱きしめなければ 今、俺の腕で繋ぎとめなければ 聡一さまが消えてしまいそうで。 聡一さまが手の届かぬ所に行ってしまいそうで。 俺は怖くなった。 「聡一さま・・・本当に宜しいのですか?  俺などがあなた様に触れても・・・・」 震える唇で訊けば 「いい。  お前なら・・・いい。  お前な、ら・・・」 その聡一さまからの言葉を遮るように 俺は震える唇で聡一さまの唇を塞いだ。 柔らかな聡一さまの唇を挟むように啄む。 それ以上、深い口付けは 聡一さまを穢してしまうようで躊躇われて。 俺の卑しい唇が 聡一さまの穢れを知らぬ唇で清められ それだけで 俺の躯は高みへと導かれてしまう。 それが 俺だけではないかと不安になり そっと聡一さま自身にも触れてみる。 着物越しに触れたそれは 緩やかに反応を始めていた。 敷いた布団に聡一さまを横たえ 「これより先はもう俺も引き返せません」 そう云って聡一さまの腰紐を解いた。 先ほど触れた聡一さま自身に指を絡める。 「んん・・・っ」 聡一さまの唇から美しい音色。 「聡一さま・・・初めてなのですか?」 訊けば頬を赤らめて 俺に顔を見れぬよう両手で覆われて。 その姿に 何時もとは違う聡一さまを感じ 愛しさが増す。 俺の卑しい手と指が 聡一さまから放たれたものを受け止める。 それを聡一さまの秘所に塗りこみ 俺の卑しいそれを清らかな聡一さまに埋め込んだ。 その夜を境に 二人だけの夜の逢瀬を 何度も 繰り返し 俺の聡一さまを想う気持ちだけが 肌を重ねる毎に増して行く・・・・・・ 聡一さまにとっては ただの気まぐれに過ぎぬと知りながら・・・

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