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プロローグ
ー天界・レイ・水宮の畔
拝啓、この物語には、ある実験に携わる筈だった私自身の不運が、重なった結果。
止む終えず、頭を下げて、お願いする羽目になるエロチックに見える物語である。何世紀前に、実験した『アラディーナの方式』に、則り、記憶から揺すり起こしたのに。
「兄様、馬鹿?」
突如、頭に被る罵声。
水色の長い髪が、肩から落ちる。
双子ならではの特徴と、言うべきなのか。
妹、アルィータは、誰に似たのやら。
絶対、母様って、感じがしてならない。
「物は、試さないと、解らないだろう…」
「白き絶対神『サファリア』の血筋だからって、転生魔術が、完成する訳無いでしょう。第一、元素は?魔法陣…完成させるにしても、四大元素プラス演唱魔法が、必要なのよ。兄様、演唱魔法苦手じゃない」
「…っ」
「よって『アラディーナの方式』は、諦めて。術式を、使いたいなら、魔界に棲む、当の本人に…聞いてきた方が早いわ」
嫌だぁぁぁぁ!!!
いくら、血筋でも、私は、あの人が恐い。
冷めた視線が向けられて、絶対零度の世界を作り上げようとするんだぞ。
どう、考えても…。
私には、教えてくれない。
遠い記憶の中で『私の様に、四大元素を含め、時空の方式を覚えたら、教えて上げるわ。血は、購えないけど、リリー以上に、複雑よね』とか、吐いていたんだぞ。
私の中には、彼女の血が流れていたとしても、アリィータみたく、血が呼び掛ける事がない。
母様…。
私は、本当に、貴女の子なのでしょうか。
遺伝子、組み換えました?
もう、昔過ぎて、時空の中で、忘れてきたんじゃないんでしょうか。
私の遺伝子の一部。
『うわぁ、リリーより、頭悪いわ』
曾ての、女神の科白が、過る。
彼女が、鎮魂を司るなら、私は生そのもの。
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