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第2話
「優、ここってまさか……」
「ゲイバーだよ。見たら分かんだろ」
店内を見渡して、見つけた。ちょうどいい奴を。
「剛 」
「おお、優じゃん、久しぶりっ」
琢磨に見せつけるように、剛の肩に腕をまわした。
「これ、俺のセフレ」
「……セフレ?」
琢磨の顔が険しくなる。
「ああ、そっちの人ともヤッたよ。一回? ニ回かな?」
隣の席の、見覚えのある奴と目が合ったので近寄った。
「なぁ、名前なんだっけ?」
「おいおい、ニ回も寝ておいて名前覚えてねぇの? ひでぇな」
「そっちは覚えてんの?」
「優だろ?」
「なんで疑問系だよ。どうせ剛が呼んだの聞いてたんだろ」
「はは、バレた?」
琢磨を見てニヤリと笑いかけた。
「分かった? 昔の俺はもういねぇの」
「……だからなんだよ。関係ねぇ。俺は――――」
「あのさ。俺はお前なんか待ってなかったんだって。分かんない?」
剛の側にもう一度戻ると、俺は後ろから抱きついて、耳元で甘えるように言った。
「剛、久しぶりに相手してよ」
「おお、いいぜ。すぐ行く?」
「うん、行こ」
剛は立ち上がると、俺の腰抱くようにして出口に向かう。
「おいっ、優っ」
琢磨が怖い顔で俺の肩をつかんできたが、剛がその手をひねりあげた。
「……っ」
「邪魔しないでくれる? あ、それとも一緒に来る? 三人も楽しいよ?」
「……っふざけんなっ!」
「あっそ。じゃあそこで、おとなしく指でもくわえて見てれば?」
剛はひねり上げた手を離し、鼻で笑って琢磨に背を向けた。
背中に琢磨の視線が痛いほど刺さってきたが、俺は気づかないふりをした。
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