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「今放送されてるの?」
「ああ、主題歌が好きなんだって」
日本のアニメは中国でも人気で、各チャンネルが色々なアニメを流している。随分と懐かしいものからかなり新しい作品まで意外と幅広い。
祐樹は一休哥《イーシュウガ》(一休さん)を中国で初めて見たが、次の時間帯は櫻桃小丸子《インタオシャオワンズ》(ちびまる子ちゃん)だったり色々楽しい。
「アニメの主題歌? どんなのだったっけ?」
見た覚えはあるが主題歌までは思い出せない。
中国で放送される場合、アニメのストーリー部分は吹き替えだが主題歌は日本語のままということも多い。だからアニメの主題歌だけ日本語で丸覚えしている子供たちがけっこういる。
「俺は見てないから知らないけど、カラオケ行ったら歌ってくれると思うよ」
朴はカラオケ好きでよく祐樹たちも誘われる。たまにつき合うと日本語の歌を歌って下手な発音のところは教えてくれと頼まれる。上手に歌いたいらしい。
大した手間でもないので正しい歌い方や発音を教えてあげていたら、ここ数カ月でとても上達してきているのだ。
湯がいっぱいになって、祐樹は体の力を抜いて孝弘にもたれた。腰から前に回った腕が軽く抱きしめてくる。今日はワイン飲んだし、あまり長くつかるのはよくないかもしれない。
「へえ、アニメの曲も入ってる?」
「どうだろ? 入ってないかな」
「なくても朴さん、音無しでもうまいよね」
「そうだな。近いうちにまたカラオケ誘われるかもな」
「いいよ。朴さんのカラオケ楽しいから」
「そう言えば祐樹の課題曲って何だったっけ?」
祐樹や孝弘が中国語の歌を歌うと朴が教えてくれるのだ。面白半分で課題曲をお互い決めるということもこの前から始めた。
「えーと…「真夏の果実」。北京語でも「毎天愛《メイティエンアイ》ニー多一些《トゥイーシェ》」?」
「そう。広東語版は違った?」
「多分、タイトルは一緒だったと思う。歌詞は違うけど」
「あ、そうなんだ? 歌詞違う?」
「うん、おれもびっくりしたけど。日本語とも違うんだけど、これ、北京語歌詞けっこういいね」
「ああ、俺も北京語の好き。広東語版も張学友《ジャンシュエヨウ》?」
「うん。広東語版もジャッキー・チュンが歌ってた」
ジャッキー・チュンは香港人歌手で漢字では張学友と表記する。香港の四大天王と言われ、歌のうまさから歌神と称されたりもするほどの有名歌手だ。
南天群星《ナンティエンジュンシン》(サザンオールスターズ)は中国でも人気があり、北京語、広東語それぞれに翻訳されて大ヒットしている。
「じゃあ北京語版と両方歌ってるのか。広東語版聞いたことないな」
「こっちじゃ流れないでしょ」
「だな。広東語版歌える?」
「うーん…? 歌詞見ながらならなんとか…かなりうろ覚えだけど」
「今度歌ってもらおうかな」
「それより孝弘が北京語版歌ってよ」
などと話しているうちに、体がほかほか温まり風呂から上がった。それほどいちゃいちゃしなかったのは、これ以上入っていたらワインがどんどん回りそうだったからだ。
※youtubeで動画見れますので、気になる方は「真夏の果実、北京語or広東語」で検索してみてください!
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