「タヌキおやじ～！？　ぶははははっ！　お前、怖いもの知らずかよ。あれでもうちの課長だぞ」 「お前、ちょっ、笑うな……！　こっちまで笑いが伝染するだろ！？　 ぷぷぷっ、まあ、確かにあの人。見た目がタヌキに似てるかもな！　てかさ、校長って…――！」 　2人が急に笑いだすと、阿川は不思議そうに首を傾げた。 「あれ？　俺、何かおかしな事言いましたかね？　どうみてもあの人、見た目がタヌキじゃないですか。それにお腹周りがポッコリしてますし……」 「ぶははははっ！　阿川お前面白いな！？　俺、気に入ったぜ！　ほら、やっぱりな！　俺も前々からあのオッサンのことタヌキだと思ってたんだよ！」 　そう言って萩原は笑い飛ばすと馴れ馴れしく、彼に絡んできた。柏木は笑いを堪えながら耐えていた。２人の様子を見て当の本人は不思議そうに顔をポリポリと指先でかいた。 「えーっと……」 「今の話し、葛城にも聞かせてやりたかったな」 「葛城さん？」 「ああ、俺と同期に入ってきた人だ。お前の２つ先輩になる。そういえばアイツの姿がさっきから見えないな」 　柏木は不意に辺りをキョロキョロと見渡した。 「あれ、おかしいなぁ。さっきまでデスクで仕事してたんだけどな。どこ行ったんだアイツ？」 　彼がキョロキョロとしていると、萩原は阿川に不意に話してきた。