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出逢いは突然に。
……あれ? おかしいな、今聞こえたのは、中年のオジサンの声だったのにいきなり若返った?
ドアの前で不思議に思うと、もう一度確かめる為に恐る恐るドアを開けてソッと確かめた。やっぱり中に居たのは細身の眼鏡姿の男性だった。
……おかしい。あのタヌキオジサン。
いつの間にこんな若返ったんだ? 今朝、朝礼で話してたのこの人か?てか、眼鏡してたっけ?
謎のミステリーゾーンに突入すると、扉の前で目の前にいる男性の顔をジッと見つめた。そして勢い任せで彼の方に歩み寄ると、そこでガバッとハグして挨拶をした。
「わ~すごいや! 戸田課長、見事に若返っりましたね!? 50代から一気に20代くらい若く見えますよ! 俺、めちゃくちゃ感激しました!」
そう言って感激すると、勢い任せで眼鏡の人にハグしてみせた。すると『ゴホン』と大きな咳払いする声が聞こえた。
「阿川君、キミは一体誰と間違えているのかな?」
「え……?」
いきなり中年の人の声が聞こえると、彼の目の前を覗いて確かめた。良く見ると机にあのタヌキオジサンが椅子に座ってこっちを怒った顔で見ていた。眼鏡の人が自分の前に居たから全然気づかなかった。俺はしまったと思うと、ハグして抱きついた腕を離して笑って誤魔化した。
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