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出逢いは突然に。

「わっ、ごめんなさい…――! 俺とした事が間違えちゃいました……!」  そう言って彼の傍から離れると、笑って頭を掻いて謝った。眼鏡の人は表情を変えずに、突っ立ったままでこっちを無言でジッと見てきた。その突き刺さる視線に思わず息を呑んだ。 ――何だろう、この眼鏡の人。クール系の人かな。ちっとも表情変えないや。いや、なんかちょっと違うような。こう言う人、無機質な人って言うのかな。 ……何か、雰囲気とか含めて無機質っぽいよなぁ。  不意に気になると、彼の顔をジッと見つめた。すると目の前で課長のオジサンが咳払いをして話してきた。 「まあ、キミはまだ新人だから間違えるのも無理はないな。そうだろ葛城君?」 「――はい、そうですね。入ってくる新人は大体、そんなものですよ」  彼は自分の感情を表に出さないまま、無機質な話し方で答えた。俺は眼鏡の人に興味が湧くと、不思議そうに目を向けて彼を見つめた。 「ああ、そうだった…! 阿川君、ちょっとこっちに来たまえ。キミに大事な話しがある」 「あ、はい…――!」  課長に呼ばれると、眼鏡の人の隣に並んで話を聞いた。 「まずは阿川君。うちへの入社、改めておめでとうと言わせてくれ! 私は実に嬉しいんだ。キミ見たいな優秀な人材は本来、大企業の会社の方が性に合うからな。キミは今年一番のうちの期待の新人だ。まあ、こんな中小企業の会社で良ければ一つ頼むよ!」  そう言って課長は上機嫌な様子で褒めてきた。 「お褒め戴き有難うございます! いえ、自分もここの会社に入社出来て、本当に良かったです。はい任せて下さい。自分は何処に居ても一生懸命ベストを尽くします!」 「そうかそうか、それならうちとしても良かった! キミは新人だけど向上心があるな! それに実に頼り甲斐がある返事だ! 私もキミが気に入ったよ、是非うちの営業部の力になってくれ! なあ、葛城君も彼みたいな頼もしい新人君が居たら色々助かるだろ?」  課長の質問に眼鏡の人がチラッとこっちに視線を向けて鋭く見てきた。眼鏡の奥が一瞬キラーンと光ったように見えた。そして、顔にかけていた眼鏡を指で押さえると適切に答えて返事をした。

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